金稜辺(キンリョウヘン)の育て方・栽培方法のコツ
ニホンミツバチを捕獲するために重要なキンリョウヘン。キンリョウヘンの育て方を説明します。
キンリョウヘンの栽培は難しい?
キンリョウヘン(金稜辺)の栽培は難しいのでしょうか?寒さに強く丈夫なので他の蘭に比べ育てやすいですが、これまで経験がない人は少し難しいと思っておいてください。
キンリョウヘンの栽培方法は、シンビジウムの栽培方法とほぼ同じです。キンリョウヘンはニホンミツバチを飼育する人以外は見向きもしませんが、シンビジウムは人気のある品種なので育て方の本はたくさん出版されています。シンビジウムの本などを参考にしながら育ててください。
地域差に注意しましょう
私たちがキンリョウヘンを育てているのは京都府の日本海側の気候です。冬には30cm程度の雪が積もることが度々あります。
冬は曇りや雨、雪の日が多く、太平洋側と違って空気があまり乾燥しません。また、冬に限らず昼夜の寒暖の差が激しいです。ですのでここで書いた方法は、日本全国で通用するわけではないことをご了承ください。
例えば、冬の水やりの頻度は、乾燥しがちな太平洋側より、湿潤な日本海側のほうが少なくて済みます。このように、地域によって適した栽培方法が異なります。
インターネットで他の人の栽培方法を参考にするときや、他の地域の人に質問するときは、地域の違いを考慮してください。なお、市販の本は、太平洋側を想定してかかれていることが多いので、日本海側の人は注意が必要なことがあります。
春の育て方
うまく行けば、春にはキンリョウヘンが咲き乱れます。
・置き場所
まず、地植えでのキンリョウヘンの栽培は難しいです。地植えではなく鉢植えで育ててください。ソメイヨシノが散ると屋外で栽培します。冬は屋内で栽培していますので、いきなり屋外に移動すると葉が日焼けしてしまいます。遮光を行うか、日当たりのやや悪い場所に置くなどし、目安としては1、2週間をかけて明るさに慣れさせてから、日当たりのよい場所に移動させてください。
雨のはねあげや病害虫予防 特に夏の輻射熱を防ぐため、また、涼しい環境を好むため鉢の周りの風通しを良くするために、次の写真のような台に乗せて栽培すると良いです。
・水やり
屋外で屋根がないところでは、雨が降るので水やりはそれほど必要ありません。4月から梅雨までは、晴天が続いて鉢の中が乾いたら、鉢の底から水がしたたるくらいたっぷりと水を与えてください。雨の降る日が多い梅雨の間は、自然に任せておきます。水の与え過ぎは根腐れの原因となります。
・花について
花芽がついていれば、徐々に成長していき、葉と近い高さまで伸びた後、花が咲きます。何もしなければ、花芽は下向きや横向きになるので、支柱を立ててビニタイでゆるめに支えてください。無理にまっすぐにしようとすると、花芽が折れることがあるので一度に行わず、時間をかけて徐々に行うと良いです。
・葉芽について
花芽とほぼ同じ時期に新しい葉芽が出てきます。1つのバルブ(根元の膨らんだ部分)に複数の葉芽があると、葉芽やバルブの成長が悪くなり、花芽ができにくくなります。そこで6月頃に各バルブに1本ずつ残して、残りの葉芽は摘み取ります。なお、摘み取る時期は多少前後しても大丈夫です。
夏の育て方
・置き場所
真夏は日差しが強いので、葉が日焼けしないように遮光を行います。目安として50%程度の遮光をしてください。また、キンリョウヘンはもともと涼しい地域の植物です。最高気温は30度以下が望ましく、理想は25度くらいの場所がよいです。
・水やり
真夏は雨が少なく、日差しもきついので、毎日たっぷりと与えます。植木鉢の周りにも散水して地温を下げるようにします。梅雨明けから9月になり秋風を感じる頃までこれを続けてください。
・肥料
梅雨明け以降、夏場は肥料を与えないでください。
秋の育て方
・置き場所
霜が降りるまでは、夏に引き続き屋外に置いてください。秋風を感じる頃になると、日差しも弱くなってくるので、日除けを徐々に取り除きます。なお、台風のときは屋内に避難させてください。
・水のやり方
秋風を感じる頃までは毎日水を与えてください。その後は気温も下がって雨も多くなるので、春と同様に水やりはあまり必要ありません。徐々に水やりの回数を減らしていき、晴天が続いて鉢の中が乾いたら、たっぷりと与えるようにしてください。
・肥料の与え方
秋風を感じる頃になったら、肥料を与えてください。基本的には春と同じですが、この頃はカリウムやリンが多く含まれる肥料を与えると効果的です。
晩秋から冬の育て方
この頃になると、花芽が確認できるようになります。この時期はまだ花芽は小さく、葉や土に隠れていることも多いです。次の写真は12月上旬のキンリョウヘンです。根元から小さな花芽が複数出てきています。
この時期に花芽がついていないと、翌春の分蜂時期にキンリョウヘンの花は咲きません。ニホンミツバチが分蜂するタイミングに合わせて、キンリョウヘンの花をうまく開花させなければいけません。
キンリョウヘンの開花調整について、次のページで詳しく説明しています。
キンリョウヘンは屋外で栽培すると分蜂時期と開花時期が少しずれます。このズレをなくすため、開花調整を行います。開花調整の方法を紹介します。
キンリョウヘンに花芽がない時の対処方法については、次のページで詳しく解説しています。開花見込みのあるキンリョウヘンを購入するなどして別途用意するか、キンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した製品の待ち箱ルアーを使うことができます。
キンリョウヘンが開花しないことはよくあります。花芽を観察して冬の間に開花株か判定する方法と、開花しなかったときの代替手段の待ち箱ルアーを紹介します。
・置き場所
霜が降りる頃には直接霜に当たらない、軒下などの屋根のある場所に移動して寒さを経験させます。
ポイントは、霜が降りる時期まで屋外で栽培することです。少し寒くなってきたからといって、霜が降りるよりも早い時期に暖かい屋内に移動させると花が咲きません。翌春に花を咲かせるために、寒さを経験(休眠打破)させる必要があるのです。
ただ、屋根がない場所で霜に直接当たってしまうと凍傷になり、枯れてしまうことがあるので注意してください。
霜が降りたら、屋内に移動させます。日がほとんど当たらなくても構いません。玄関などの暖房がされていない屋内で育ててください。暖房がある部屋で栽培すると、分蜂よりも早い時期に花が咲いてしまいます。
最低気温が14度以下になる所を選んでください。最低気温が14度以上の場所はつぼみが成長しないで落下することがあります。
・水のやり方
この頃は、水はほとんど与えません。目安として、私たちは2、3週間に一度与えていますが、太平洋側はこの時期乾燥するので、もう少し高い頻度で与える必要があると思います。
鉢の中が乾いたら、1日置いて水を与えてください。水は鉢の下から少し流れ出て来る程度の十分な量の水を与えてください。ただし、鉢皿に水を貯めてしまうと根腐れを起こしてしまいます。鉢皿に貯まった水は捨ててください。
この時期は、水の温度にも気を付けます。冷たい水を与えると根を傷めてしまうからです。屋外のバケツに貯まった雨水はもちろん、この時期は水道水がかなり冷たくなる場合もあります。
・肥料の与え方
この時期は、肥料は与えないでください。
キンリョウヘンの栽培に自信がないなら、待ち箱ルアーを使おう
キンリョウヘンの栽培に自身がない方は、キンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した製品の待ち箱ルアーを利用することをお勧めします。待ち箱ルアーなら購入して開封するだけで簡単に使用することができます。
次の写真は、待ち箱ルアーを取り受けた巣箱に、ニホンミツバチが入居する時のものです。巣箱についている白い丸いものが待ち箱ルアーです。
キンリョウヘンは安くはないですし、栽培にも労力もかかります。最初は無理せずに待ち箱ルアーを使い、巣箱作りなどの準備に集中するのが良いでしょう。
余裕ができたら、キンリョウヘンの栽培にもチャレンジしてみましょう。待ち箱ルアーはキンリョウヘンがうまく咲かない時の保険にもなるので、万が一栽培に失敗しても安心です。
待ち箱ルアーについて詳しくは以下のページをお読みください。
キンリョウヘンの誘引成分を分析し、化学的に合成された誘引剤です。巣箱に取り付けて、ニホンミツバチの分蜂群れの誘引を行います。
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キンリョウヘンの栽培では根腐れに注意
特に植物を栽培した経験が少ない方は、注意が必要です。キンリョウヘンを大事にしよう、早く大きく育てようという気持ちから、水をやりすぎたり、肥料をやりすぎてしまい、根腐れを起こしてしまう方が多くおられます。
水も肥料も与えれば良いというものではなく、適量があります。また季節によって与える量も異なるので、よく調べてから、水や肥料を与えるようにしましょう。
また、鉢の受け皿に水が溜まっているままにしていると、根腐れを起こしますので注意してください。
キンリョウヘンは地植えでは栽培しません
地植えの栽培の問題は冬です。凍結したり、霜が降りてキンリョウヘンが凍傷になることがあります。私たちは京都府北部で栽培していますが、日本海側の気候で数十cmの雪も降りますので、地植えでの栽培はできません。
暖かい地域であればキンリョウヘンを地植えで栽培できます。しかし、開花時期がニホンミツバチの分蜂と合いません。
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