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ニホンミツバチを誘引するため、蜜蜂蘭(みつばちらん)とも呼ばれるキンリョウヘン(金稜辺)。ニホンミツバチの養蜂家に大変人気があります。ニホンミツバチを飼育するなら、キンリョウヘンについて知っておきましょう。

キンリョウヘンはニホンミツバチを誘引する

キンリョウヘンは中国原産の蘭です。日本に持ち込まれ、明治時代には栽培が流行しましたが、近年は派手な花の咲くシンビジュームが好まれ、地味な花のキンリョウヘンは園芸種としてはあまり人気がありません。近年、注目されている理由は、キンリョウヘンの花がニホンミツバチを誘引するからです。

キンリョウヘンの花がニホンミツバチの分蜂群れを誘引するので、開花したキンリョウヘンを巣箱の横に設置しておくと、ニホンミツバチが入居する可能性が高くなります。

次の動画では、キンリョウヘンに多くのニホンミツバチが殺到するように誘引されています。キンリョウヘンの花に、たくさんのニホンミツバチが集まっているのがわかるでしょうか?

このニホンミツバチ達は、新しい巣の場所を探す探索蜂です。しばらくすると群れ自体が大群でやってきました

キンリョウヘンの誘引効果を化学的に合成した製品も登場

キンリョウヘンの効果は大きく、愛好家の方には「キン様」と呼んでありがたがる人もいます。

ニホンミツバチの養蜂家の多くがキンリョウヘンを栽培しています。キンリョウヘンをうまく栽培できるかが、ニホンミツバチの捕獲数を大きく左右します。

キンリョウヘンがニホンミツバチを誘引の仕組みは昆虫研究者の注目を集め、最終的に京都学園大学の坂本文夫先生、菅原道夫先生を中心とする研究グループにより明らかにされました。2014年にはキンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した待ち箱ルアーが発売されました。

この写真は、待ち箱ルアーを使ってニホンミツバチを捕獲している様子の写真です。真ん中の白い丸い物質に誘引成分が塗られています。

待ち箱ルアーが発売されるまでは、キンリョウヘンをうまく栽培できるかが、ニホンミツバチの捕獲の鍵を握っていると言っても過言ではありませんでしたが、待ち箱ルアーによってキンリョウヘンの誘引力を手軽に利用できるようになりました。

待ち箱ルアーのような製品が誕生するほど、キンリョウヘンは広く認識され、利用されていたと言えます。

=> 待ち箱ルアーについて詳しくはこちら

ほとんどの愛好家がキンリョウヘン、または待ち箱ルアーを利用

実際に、キンリョウヘンはどのくらい使われているのでしょうか?

私たちは分蜂マップという分蜂の捕獲報告システムを運営し、日本全国から受け付けています。

報告の際には、ニホンミツバチの誘引に何を使ったかを記入します。その集計結果から、驚くほど多くの人がキンリョウヘンや待ち箱ルアーを使っていることが分かりました。

2018年の分蜂マップの捕獲報告では、ニホンミツバチが自然に巣箱にやってきたもののうち、90%にキンリョウヘンまたは待ち箱ルアーが利用されています。

キンリョウヘンか、待ち箱ルアーのどちらかを使うのはもう常識と言える状態です。

  • 待ち箱ルアー利用 45%
  • キンリョウヘン利用 45%
  • どちらも利用しない 10%

キンリョウヘンは集合フェロモンの作用でニホンミツバチを誘引する

では、キンリョウヘンはどうやってニホンミツバチを誘引するのでしょうか? 蜜を出して集めると思っている人もいますが、そうではありません。

そもそも、ニホンミツバチがなぜ花を訪れるかというと、花の蜜と、花粉を集めるためです。花はミツバチに蜜を提供する代わりに、受粉してもらいます。

しかし、キンリョウヘンの花には蜜がありません。キンリョウヘンの研究で著名な菅原道夫先生は著書の「ミツバチ学」の中で、キンリョウヘンの花には蜜がないと述べています。

また、ニホンミツバチはキンリョウヘンの花粉も集めることができないと同書の中で述べられています。

キンリョウヘンの場合、ミツを出す蜜腺は, 花外蜜腺といって花の外, 茎から花が出る付け根にあります.花にはミツを出す蜜腺がないので花からはミツは出ません.

本来であれば、ニホンミツバチにとってまったく訪れるメリットがないのです。しかし、キンリョウヘンはニホンミツバチの集合フェロモンを発して、ニホンミツバチを呼び寄せて、結果的に受粉を行わせます。

これはとても興味深い性質です。キンリョウヘンは、ニホンミツバチを騙して受粉だけさせているとも言えます。少なくとも、ニホンミツバチにメリットはありません。

キンリョウヘンは中国原産ですので、元々は中国で中国に生息しているトウヨウミツバチを誘引します。キンリョウヘンは日本に鑑賞目的で人間によって持ち込まれたのですが、中国のトウヨウミツバチの親戚にあたるニホンミツバチもキンリョウヘンに誘引されるのです。

また、タイに生息するトウヨウミツバチの亜種も、キンリョウヘンに誘引されるそうです。これらは菅原道夫先生の著書の「ミツバチ学」「比較ミツバチ学」の中で詳しく述べられていますので、興味のある方は読まれることをお勧めします。

キンリョウヘンの強い誘引力を示す面白い動画

たまたま巣箱をキンリョウヘンが多数咲いている近くに設置していたところ、その巣箱から出てきた分蜂群れがなんと3つに分かれてしまいました。

分蜂は一旦巣箱を飛び出し、一か所に集まる習性があります。キンリョウヘンの強い誘引力によって、混乱してしまったようです。

キンリョウヘンは、オスのミツバチの雄蜂を誘引することが知られています。

雄蜂は花の蜜を集めたり、働くことはないのですが、キンリョウヘンに誘引されるのはとても興味深いです。

次の動画では、なぜか雄蜂だけがたくさん集まって来ていました。

セイヨウミツバチは誘引されない

「キンリョウヘンはニホンミツバチだけでなく、セイヨウミツバチも誘引しますか?」という質問を受けることがあります。

セイヨウミツバチはアフリカやヨーロッパを起源とする外来種のミツバチです。日本には明治時代の初めに輸入されていて、商業的な養蜂はほぼ全てセイヨウミツバチが使われています。

結論から言うと、キンリョウヘンは、ニホンミツバチは誘引しますが、セイヨウミツバチは誘引しません。これはキンリョウヘンの香りがセイヨウミツバチに対しては効かないためです。

ニホンミツバチとセイヨウミツバチの集合フェロモンが異なるためでしょう。キンリョウヘンに反応して集まっているのは、必ずニホンミツバチです。

キンリョウヘンを使わなくても捕獲できるが、使った方が良い

キンリョウヘンなしでは、ニホンミツバチの分蜂群れは、捕獲できないと思っている方もおられますが、そうではありません。

キンリョウヘンを使わなくてもニホンミツバチの分蜂群れは捕獲できます。あくまで捕獲確率の問題です。キンリョウヘンを使用することで捕獲できる可能性は高くなります。

特に、初めてニホンミツバチの捕獲に挑む場合は、なかなか捕獲は難しく、捕獲できるまで何年もかかることも多いです。

キンリョウヘン、または、先ほどご紹介した、キンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した製品「待ち箱ルアー」を用意して、ニホンミツバチの捕獲にチャレンジされることをおすすめします。

キンリョウヘンが広く知られるようになったのはここ数十年

今ではニホンミツバチを飼育する人は、誰もが知るキンリョウヘンですが、広く知られるようになったのはここ数十年です。

キンリョウヘンの研究で著名な菅原道夫先生は「ミツバチ学」の中で、ニホンミツバチの伝統的な養蜂を行なっていた地域ではキンリョウヘンのことが知られていたものの、ミツバチの研究者によって発表されたのは昭和63年であると述べています。

この現象が、昆虫の専門家に(ミツバチの研究者)に知られるようになったのは、やっと昭和63年(1988)になってからのことです。

複数の研究グループがこの興味深い現象の解明を試み、ついには京都学園大学の研究グループにより、誘引の仕組みが明らかにされました。

さらに、2014年にはキンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した待ち箱ルアーが発売され、キンリョウヘンの誘引力をより身近に活用できるようになりました。

元々は、キンリョウヘンが受粉されるためにミツバチを騙していたのが、ニホンミツバチの愛好家に役立っているのは面白いですね。

キンリョウヘンの入手方法

キンリョウヘンは園芸店ではあまり売られていません。このためインターネットで入手することになります。オークションサイトでも販売されています。ニホンミツバチの人気が高まっていて、キンリョウヘンの価格も高くなっているようです。

キンリョウヘンを購入には、意外な落とし穴がいくつかあります。まず、キンリョウヘンは花が咲かなければ、ニホンミツバチの誘引目的には意味がありません。ただ、春の分蜂時期には、キンリョウヘンが品切れになっていることが多いです。また、花が咲いたキンリョウヘンは、1株1万円以上することもあります。

また、春よりも前に購入して栽培して花を咲かせようとする場合、株が小さいと春には花が咲きません。翌年の春に開花する見込みがあるかをチェックする必要があります。最後に、キンリョウヘンでよく似た見た目で、誘引力のない近種もあるため、注意が必要です。

入手方法や注意点について詳しくは、キンリョウヘン(金稜辺)の入手方法 通販、販売情報で説明しています。

キンリョウヘンの育て方

キンリョウヘンは、蘭の中では入門で、簡単な部類になります。シンビジウムと言う蘭の栽培方法とほぼ同じです。シンビジウムは、ランの中でも入門者向けです。シンビジウムは人気のある品種なので、育て方の本はたくさん出版されています。キンリョウヘンの栽培よりも、シンビジウムの育て方を調べると情報が豊富に見つかります。

しかし、これまで蘭の栽培をしたことがない人がいきなり育てようと思ってもなかなかうまくいかないことも多いです。キンリョウヘンの栽培についてアンケートを取ったところ、次のような回答も多くありました。キンリョウヘンが枯れてしまったり、育てていても花が咲かないと言う人も多いです。

もう何年も前から栽培をしていますが思うように花が咲きません。毎年大事に育てていますが、どうしたら花が咲くのか教えてください。

今年室外へ出したままにしていたら、寒さで葉がやられてしまいました。

キンリョウヘンの育て方について詳しくは、キンリョウヘンの育て方で説明しています。

キンリョウヘンの開花調整

さらに難しいのが、分蜂時期とキンリョウヘンの開花を合わせることです。そのまま屋外で育てると、多くの場合はキンリョウヘンは分蜂時期に遅れて開花してしまいます。

このため、冬の間は屋内などの、外よりも少し気温が高い場所で栽培することにより、開花の時期を早める開花調整を行います。

キンリョウヘンの開花は数週間しかなく、それをニホンミツバチの分蜂時期にぴったり合わせるのはなかなか難しいです。実際に、次のような声をよく聞きます。

温室で管理していたために、分蜂よりも早くに咲かせてしまいました。

キンリョウヘンの開花調整方法について、別にページを設けて解説しています。詳しくは、キンリョウヘンの開花調整の方法 をお読みください。

また、これから始める方は、キンリョウヘンではなく、待ち箱ルアーの利用をおすすめします。
巣箱を作って、飼育場所を探して、さらにキンリョウヘンを育てて分蜂の時期に合わせて咲かせるのは大変ですし、キンリョウヘンの栽培に失敗される方も多いためです。

=> 待ち箱ルアーについての詳しい情報はこちら

ミスマフェット、デボニアナムなども誘引力を持つ

キンリョウヘンだけでなく、ミスマフェット、デボニアナム、ファゴットンフルーツなどもニホンミツバチの誘引することが知られています。

私たちは栽培していませんが、ニホンミツバチの養蜂家の中には、これら方がキンリョウヘンよりも誘引力が高いとおっしゃる方もおられます。

ただ、キンリョウヘンよりも入手しにくく、かつ寒さに弱いものもあるので、栽培には注意が必要です。あえて最初に探し求める必要はなく、キンリョウヘンの栽培に慣れてきて、興味がわいたら育ててみても良いでしょう。

デボニアナム

デボニアナムはキンリョウヘンと同じくニホンミツバチを誘引することが知られています。栽培方法にもよると思いますが、キンリョウヘンよりも開花が遅めになるようですので注意が必要です。

養蜂家の交流サイト「ミツバチQ&A」では、キンリョウヘンよりも2週間から1ヶ月遅く開花するという情報がありました。ファゴットンフルーツや、デボニアナムはキンリョウヘンと開花時期は違いますか?

ミスマフェット

ミスマフェットは、キンリョウヘンとデボニアナムの交配種です。根拠は定かではありませんが、キンリョウヘン、ミスマフェット、ファゴットンフルーツ、デボニアナムなどのニホンミツバチを誘引する「蜜蜂蘭」の中で、最も誘引力が強いという記述を見かけます。

愛好家のブログでは、ミスマフェットを「ミスマ」と略されて表記されることがあります。キンリョウヘンと開花時期はほぼ同じようです。キンリョウヘンより寒さにやや弱いようですので、注意が必要です。

キンリョウヘンよりも入手は難しいですが、ネットショップを検索すると見つかると思います。キンリョウヘン以外では、ミスマフェットを一番よく聞くような気がします。

ミスマフェットは花が垂れ下がってしまうのでやや使いにくいそうです。


ミスマフェットでの捕獲の様子(支柱を利用)
ミスマフェットが最強の誘引力という根拠は何かデータがあるのでしょうか?|ミツバチQ&Aより

ファゴットンフルーツ

赤ワイン色のような綺麗な花を咲かせます。ファゴットンフルーツを栽培している方はあまり多くないようで、少し情報が少ないですが、キンリョウヘンとほぼ同じ時期に咲くようで、寒さに弱いそうです。

販売しているところをインターネットで探しましたが、ほとんど見つかりませんでした。入手も難しそうです。ミツバチについての質問サイト「ミツバチQ&A」には、ファゴットンフルーツを栽培されている方もいますので、栽培方法について困ったら質問して見てください。


キンリョウヘンの最適な設置時期に合わせた開花調整その他についておうかがいします。より

デボニアナム、ミスマフェット、キンリョウヘン、ファゴットンフルーツ、どれが最強?

ニホンミツバチの愛好家の中には、キンリョウヘンだけではなく、デボニアナム、ミスマフェット、ファゴットンフルーツなども取り寄せて栽培している方もいます。

ミツバチQ&Aに、それぞれの誘引力の体感についての声がありました。
ミスマフェットが最強の誘引力という根拠は何かデータがあるのでしょうか?|ミツバチQ&Aより

この中では、デボニアナムの評価が高いようです。(下記の投稿者さんは、ファゴットンフルーツは栽培されていないようです)

あくまで愛好家体感で敢えて言えば「デボネアナム=or>ミスマフェット> キンリョウヘン」でしょうか。(これは買った時の金額が大きく影響しそう思っているのかもしれません。)
実験のように一定の条件下のもと比較した訳でないので、根拠を問われると困ります。

個人的な体感です。 記載の中の3種を近年活用していますが誘引力で言えば

1位デボニアナム

2位ミスマフェット

3位キンリョウヘン

となります、1位は4年間ダントツトップです。

キンリョウヘン以外にも育ててみるもの楽しいようですね。

基本的にどれか1つあれば大丈夫

キンリョウヘン、ミスマフェット、ファゴットンフルーツ、デボニアナム、これら全てを栽培する必要はありません。

デボニアナムは開花時期が違うのでキンリョウヘンと合わせて栽培することで分蜂時期をカバーできそうですが、キンリョウヘンでも開花調整をグループに分けて管理し開花時期をずらすこともできます。

また、どうやら、キンリョウヘンがもっとも育てやすいようです。寒さへの強さの違いから、キンリョウヘンと同じ方法では、枯れてしまうという声もあります。

複数育てられている方は、上級者で蘭の栽培も楽しんでいる人です。ミスマフェット、ファゴットンフルーツ、デボニアナムはキンリョウヘンよりも入手が難しいので、まず入手しやすく、情報も豊富なキンリョウヘンの栽培から始めるのが良いでしょう。

キンリョウヘンに関するページ

キンリョウヘンについて詳しくは、以下のページでご紹介しています。



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