ニホンミツバチの分蜂の捕獲方法とコツ
ニホンミツバチの分蜂の捕獲には簡単なコツがいくつかあり、捕獲の確率を高めることができます。毎年、数十以上の分蜂を捕獲する達人のコツを教えます。
このページの内容は、動画でも紹介しています。
分蜂と捕獲の種類
分蜂について簡単におさらいしましょう。
春になると、新しい女王蜂が生まれます。すると、その母親の女王蜂は、働き蜂の約半数を連れて巣を飛び出し、新たな場所に巣を作ります。母親が家を出て行くのです。
捕獲には大きく分けて、自然入居と、強制捕獲の2つあります。
まず、自然入居です。巣を飛び出した群れは新しい巣の場所を探しています。巣箱を新しい巣の場所に選んでもらいます。
次に強制捕獲です。新しい場所に引越し途中の群れは、下の写真のように木などに一時的に集合しています。この時、強制的に巣箱に入れてしまうこともできます。
強制捕獲は、すでに飼育群れがいれば行いやすいですが、これから始める人の場合は木などに集合した分蜂群れを見つけることはまずできません。このため、自然入居を狙うことになります。
(自然入居)巣箱に群れが入居するのを待つ方法
それでは、自然入居から説明します。
自然入居は、小鳥の巣箱と似ています。巣箱を作っておくと、小鳥がそこに住みついてくれて、小鳥の生活を観察できます。
ニホンミツバチもこれと同じで、巣箱を作って待っていると、分蜂群れが入ってくれることがあります。
ニホンミツバチの分蜂群れは多くの場合は数千匹以上です。大群が一斉に飛来するので、嵐のような音を立てながら、雲のように飛んで来ます。
次の動画では、まさにニホンミツバチが入居する瞬間の様子を見ることができます。
これから始める人が1群れ目を捕獲するのは大変ですが、捕獲の可能性を高めるコツがいくつかあります。
それは技術として難しいものではなく、誰でもやろうと思えばできる内容です。このページでは、そのコツを1つずつ紹介していきます。
入居の前には偵察隊がやってくる
いきなり分蜂群れが飛んでくるのではありません。
まず、偵察隊が営巣(えいそう)に適した場所を探します。これは、探索蜂(たんさくばち)と呼ばれます。
有力な候補地になると、50匹、100匹程度の探索蜂が頻繁に出入りするようになります。
初心者は、すでにニホンミツバチが住んでいると勘違いして、巣箱を動かしたり、キンリョウヘンを移動させてしまい、失敗することがよくあります。入居を確認するまでは、何もせずに待つことが鉄則です。
探索蜂が来ても、他に良い場所を見つけて、入居してくれないことも多いので、探索蜂が来た時点では期待しすぎないほうがよいです。
次の動画は、たくさんの探索蜂が来ていますが、まだ捕獲には至っていません。このような状態で喜んでしまい、巣箱を動かしたりしないでください。
捕獲のコツ1 分蜂の時期に遅れない
捕獲のコツでもっとも重要なのが、分蜂の時期に遅れないことです。
分蜂が始まって、1ヶ月くらいが分蜂がもっとも多い時期です。
分蜂時期に遅れると、捕獲の可能性が大きく下がります。初心者でもっとも多いのがこの失敗です。
まず分蜂の時期をしっかり把握して、冬の間にしっかり準備しよう。
京都府の丹波地方では、分蜂は4月中旬から始まります。だいたい九州では、3月半ばから始まるようです。東北では、5月に入ってから始まる地域もあります。このように地域によっても大きな違いがあります。
捕獲の時期について詳しくは、次のページをお読みください。
分蜂捕獲で最も大切なのは、分蜂の時期を逃さないことです。分蜂の時期に遅れると、捕獲の可能性は大きく下がってしまいます。正しい時期を知る方法をご紹介します。
捕獲のコツ2 巣箱をたくさん用意する
捕獲のコツは、何と言ってもたくさんの巣箱を用意することです。巣箱1つだけでは可能性は低いです。
巣箱をたくさん用意すればするほど、捕獲の確率が上がります。冬の間にできる限り巣箱を用意しておきましょう。
詳しくは、次のページをお読みください。
巣箱の設置場所は多ければ多いほど、捕獲に近づきます。自宅だけでは限界があります。親戚や知人の家や畑、山などにも巣箱を設置させてもらいましょう。
捕獲のコツ3 巣箱を分散していろいろな場所に設置する
巣箱はできるだけ分散させて、離して設置してください。数百メートルは離しましょう。
自宅の前庭と、隣の畑などのように近距離においてもあまり効果がありません。
なぜかというと、近く(数百メートル以内)にニホンミツバチの群れがいないかもしれないからです。
友人や親戚にも頼んで、いろんな場所に巣箱を置くのが捕獲への近道です。
捕獲のコツ4 蜜蝋を塗る
巣箱を置くだけでもニホンミツバチの分蜂群れやってくることもありますが、いくつか入居の確率を高める方法があります。
その1つが、蜜蝋(ミツロウ)です。蜜蝋とはミツバチの巣の材料です。
ニホンミツバチのミツロウを巣箱に塗ることで、ニホンミツバチの分蜂群れを誘引できることが知られています。
巣箱の天井部分などに塗っておきます。
ニホンミツバチは、以前に巣が作られていた場所を好むと言われています。巣が一度作られた場所は、蜜蝋がこびりついており、蜜蝋の匂いがついています。
そこで、ニホンミツバチの捕獲を行う人は必ず蜜蝋を巣箱に塗って、そこがニホンミツバチが以前営巣した場所だとアピールするのです。
詳しくは次のページをお読みください。
ニホンミツバチの誘引のために、巣箱に蜜蝋を塗りましょう。すべての愛好家が行っていると言っても過言ではありません。セイヨウミツバチ ではなく、ニホンミツバチの蜜蝋を塗りましょう。
捕獲のコツ5 待ち箱ルアーで誘引する
キンリョウヘンというランが、ニホンミツバチを誘引することが知られています。
巣箱の横にキンリョウヘンを置いておくと、ニホンミツバチが入居しやすいのです。次の写真のように、キンリョウヘンに誘引されます。
2014年から、キンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した待ち箱ルアーが発売されました。
キンリョウヘンの栽培は初心者には少し難しいのですが、待ち箱ルアーは芳香剤のように、開封した時点から誘引力を発揮します。
この2つは効果が大きいので、どちらかを必ず準備するようにしてください。
待ち箱ルアーは口コミで評判が広がり、人気が高まっています。待ち箱ルアーについて詳しくは次のページをお読みください。
2014年に発売された待ち箱ルアーは、キンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した製品です。誰でも簡単に使うことができ、初心者におすすめです。
ニホンミツバチの分蜂の回数は?
それでは、分蜂は何回発生するのでしょうか?1回だけではありません。1年間に1つの巣箱から分蜂群れが複数群れ出てくるのが普通です。
複数回の分蜂が発生するのは、娘の女王蜂が1匹だけではなく、姉妹が生まれてそれぞれ分蜂することと、娘の娘、つまり孫の女王蜂が生まれることがあるためです孫の女王が誕生した場合は、分蜂の最盛期が過ぎて夏ごろになってから分蜂が発生します。
目安としては、1群れで3回分蜂が起こることが多いです。群れが大きい場合、4回、5回と分蜂することもあります。つまり、年に何度も捕獲のチャンスはあります。
次の動画では2020年4月に、3つの群れの分蜂を観察しました。それぞれ、3回、6回、4回分蜂しました。
ただ、全く分蜂しない場合もあります。元気な群れでないと、分蜂しないんです。
先ほどの動画ではどんどん分蜂しましたが、翌年は分蜂が大きく減りました。分蜂しない群れの状態も含めて紹介していますので、詳しくは次の動画をご覧ください。
(強制捕獲)木などに集合した分蜂群れを捕獲する方法
ここまでは、ニホンミツバチの分蜂群れが自然に入居する方法をご紹介しましたが、まるで誘拐・拉致のような方法での捕獲です。
ニホンミツバチの分蜂群れは、いきなり新しい場所に直行することは稀です。巣箱から出ると、元の巣の近くの木などに固まって、新しい巣の場所を探します。この時に無理やり巣箱に入れてしまいます。正しい方法で行えば、逃げ出すこともほとんどありません。
この状態で見つけた場合、いつ飛び立つかは誰にもわかりません。すぐに飛び立つこともありますし、なかなかよい場所が見つからなかったり、雨が降って旅立てなくなったりすると、数日間などの長く滞在することもあるようです。
詳しい作業の様子は、次の動画を見てください。
強制捕獲を増やすためには分蜂集合板の利用がおすすめです。詳しくは次のページをお読みください。
すでに飼育群れがいるなら、分蜂集合板を近くに取り付けましょう。分蜂集合板に集まった分蜂群れを簡単に捕獲できます。簡単で効果が大きい方法ですので必ずやりましょう。
捕獲ノウハウ解説動画
捕獲方法についてはたくさんの動画で解説しています。ぜひ参考にしてください。
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