ニホンミツバチの飼育方法
ようやくニホンミツバチを捕獲できたら、飼育が始まります。飼育といっても、重箱式巣箱で飼育する場合、普段はほとんどすることはありません。
春捕獲してから、捕獲してからニホンミツバチの飼育が始まる
春に群が捕獲できたら、ニホンミツバチの飼育が始まります。まだ捕獲できていない方、これからニホンミツバチの飼育を始めようと考えている方向けには、ニホンミツバチの捕獲方法を詳しく紹介しています。まずは、次のページをご覧ください。
ニホンミツバチの飼育を始めたい方のために、どのように、いつ準備すれば良いのかや、必要な準備物などを紹介します。週末養蜂家になりたい方はまずはこの記事を読んでください。
最初は、巣箱の上の隅の方にニホンミツバチが固まっています。ニホンミツバチは一から巣作りを行います。次の動画は2週間後のニホンミツバチの様子です。
群れや、周りの環境によって、巣を作る速さは大きく異なります。
しばらくは特にすることはない
ニホンミツバチは入居すると、花の蜜や花粉を集め、巣を作り始めます。
重箱式巣箱の飼育の場合、人間がすることは特にありません。そもそも、重箱式巣箱では人間があれこれ管理するための巣箱ではありません。
野生のミツバチが勝手に巣箱に住み着いている状況なので、人間ができることは限られています。快適に、安全に暮らせる巣箱を提供することが最も大事です。
巣箱が悪ければ、ベテランの飼育者でもうまく行きません。トラブルも多くなり、手間もかかります。巣箱については次のページで紹介しています。
研究機関にも納品実績のある重箱式巣箱の作り方を紹介します。まず捕獲に必要な最小構成の巣箱の作り方を紹介します。待ち箱をたくさん設定してニホンミツバチを捕獲しましょう。
色々してあげようと、余計なことをしてしまい失敗する人も多いです。巣箱の中を持ち上げて覗いたり、周りを人間がウロウロしたりすると、ニホンミツバチは外敵の危険を感じて逃げてしまう可能性があります。なるべくそっとしておいてあげましょう。
中にはどんな風に巣ができているのか、気になると思います。2ヶ月ほどで逃去してしまった群れの巣箱を解体する動画をご覧ください。
綺麗に巣が残った状態で解体したので、中にどのように巣ができているかよく分かります。
ミツバチに色々としてあげたい、しっかりと管理したいという方は、巣枠式巣箱をお勧めします。
過去には、ニホンミツバチは巣枠式巣箱では飼育できないと言われていましたが、色々なタイプのものが開発されています。ミツバチQ&A でも多くの方が情報を交換されています。
巣箱の中を覗いて点検を行う
重箱式巣箱では、巣箱を底から覗いて内部の様子を点検します。
健全な群れでは、巣板が見えないほど、たくさんのニホンミツバチがいます。
次の群れでは、ニホンミツバチの数が少なく、巣の半分程度が露出しています。これは健全な状態ではありません。この群れは女王蜂がいなくなっており、この後に消滅してしまいました。
巣板が見えているときは、何らかの問題がある場合が多いです。写真を撮ってミツバチQ&Aで質問してください。全国の先輩からアドバイスをもらえます。
巣が大きくなってきたら、重箱を一番下に足す
待ち箱では2段の重箱式巣箱を使います。
分蜂群が入居すると、巣が上から下へ伸びていき、秋までに5 段( 高さ75cm) の空間が必要になります。
もし2 段のままにしておくと、広い空間を求めて引越し(逃亡)したり、分蜂が発生して群れの勢力が弱まってしまいます。
2段のままでは、ハチミツを採ることはできません。2段分いっぱいまで巣が伸びるには1、2ヶ月かかりますが、捕獲したら早めに追加の重箱の用意をしておきましょう。
重箱を追加する時期が遅れてしまうと、巣が下にはみ出してしまい、巣門枠や台の部分まで巣ができてしまいます。
重箱を追加するときには、巣門から上を持ち上げ、巣門の上に新しい重箱を追加します。
巣が成長すると持ち上げるのが大変になります。
次の動画のように、持ち上げ機を自作して使っています。この動画は継箱のタイミングが遅れて巣がはみ出てしまっている悪い例です。幸い、問題になることはありませんでした。
夏は暑さに注意!
ニホンミツバチは日本の気候に適応した在来種ですが、年々気温が高くなっており、暑さ対策の重要性が増しています。
ニホンミツバチは、もともと森の中の木などに巣を作る場合が多いです。
森や木があるところは涼しいですし、木の中は涼しい環境です。暑い日に林や神社などにいくと、涼しく感じた経験を持つ人は多いと思います。
多くの場合、巣箱は民家や畑などに置かれるので暑さの対策が重要になります。
暑くなるとニホンミツバチが、外に涼みに出てくることもありますが、より深刻なのは、巣落ちです。暑さで巣が柔らかくなり、重さに耐えられなくなった巣が丸ごと落下してしまうのです。
暑さ対策について詳しくは次のページをご覧ください。
夏に巣落ちしてしまったという声が多くあります。巣落ちを防ぐためのコツを紹介します。うまく対策すれば巣落ちはまず起こりません。
対策が必要な外敵
ニホンミツバチには様々な外敵がいますが、群れを壊滅させるような外敵は、オオスズメバチ、熊、アカリンダニです。それぞれのページで紹介しています。
オオスズメバチは土の中に巣を作るスズメバチです。このため山間部や自然が豊かな場所の方が多く生息しています。オオスズメバチの他には、キイロスズメバチがよくやってきますが、キイロスズメバチについては特に対策は不要です。
スズメバチの中でも、キイロスズメバチはニホンミツバチの巣箱に頻繁にやってきます。オオスズメバチは世界最大のスズメバチで、ニホンミツバチの群れを全滅させることもあります。
熊は山間部で特に被害が出やすいです。なお、九州には熊が生息していないようです。
ニホンミツバチのとって熊は恐ろしい天敵です。山間部では熊の被害が出ることは珍しくありません。熊の対策方法をご紹介します。
アカリンダニは全国的に大きな被害を出しているダニです。
2010年以降、アカリンダニが大きな問題となっています。全国に広がっており、地域で多くの群れが消滅するなどの被害が出ています。
また、スムシが天敵としてよく挙げられますが、スムシで群れが消滅するのではなく、弱ってしまい消滅に向かう群れでスムシが発生します。
逃亡した群れ、消滅した群れの巣を放置しておくとスムシに巣を食い荒らされますが、スムシが直接的な原因でない場合がほとんどです。
スムシについても解説しておりますので、詳しくは以下のページをお読みください。
スムシはニホンミツバチの巣を食べます。スムシが繁殖すると巣がどんどん食べられて、いずれ逃亡してしまいます。スムシ を防ぐ一番の方法は強い群れに保つことです。
台風シーズンには巣箱の転倒に注意
台風シーズンには毎年、重箱式巣箱が転倒してしまった事例が報告されています。巣箱が転倒するとその衝撃で巣板が落下したり、女王蜂が事故死したりと、致命的な危機となります。
最近では、台風以外でも大雨や強風が吹くことも増えています。早いうちから転倒対策をしておきましょう。
重箱式巣箱は巣の成長に合わせて巣箱を積み上げていきます。夏から秋には5段、6段と高く積み上げることもあり、強風の影響を受けやすくなります。
土の上に巣箱を置く場合が多いので、重さで少し傾くこともあります。ピサの斜塔のように傾くと、強風で転倒してしまうかもしれません。台風がくる前に確認しておきましょう。
強風対策には、巣箱をしっかりと固定することが一番です。
私たちは、台から屋根までをロープでしっかりと縛っています。そして、重心を低くするため台の部分にコンクリートブロックで重りを載せています。
この対策によってこれまで台風で転倒したものはありません。(京都府での飼育)。固定方法には他にも、地面に杭を打ってロープを張る方法などもあります。
ミツバチQ&Aなどに投稿される写真を見ていると、巣箱の何倍も大きな屋根を取り付けている方もいます。強風の影響を受けやすいので、屋根は不要に大きくしないようにしましょう。
ハチミツが貯まれば採蜜を行う
ハチミツが貯まれば採蜜を行うことができます。主に秋に行います。
ただ、採蜜には失敗のリスクもあります。楽しいイベントが一転し、後悔が残る結果になることもあります。
巣がまだ小さいうちに、重箱式巣箱の最上段を取り除くと、巣を支えている大部分がなくなってしまい、巣が落下してしまいます。これを巣落ちと呼びます。巣落ちすると、ほとんどの場合は逃亡するか、消滅してしまいます。
これは初心者にはよくある失敗です。早く採蜜したいという気持ちは分かりますが、巣の成長をしっかり確認してから採蜜しましょう。
また、秋にハチミツを採り過ぎてしまうと、冬の間に食料が足りなくなり、餓死してしまうこともあります。
採蜜方法については次のページで詳しく解説しています。
ハチミツの採取は養蜂の一大イベントです。重箱式巣箱で手際良く、ミツバチを殺すことなく採蜜する様子を動画も使ってご紹介します。
冬は群れの消滅の危機
ニホンミツバチは巣の中で1つに固まり、ハチミツを消費しながら厳しい冬を耐えます。
ハチミツがなくなってしまうと餓死してしまいます。越冬のポイントは、十分な蜂蜜を残しておくことです。
冬に入るとミツバチの活動も低下するので、冬に入るまでの準備が重要になります。
越冬方法について詳しくは次のページをご覧ください。
冬の気温の低い日にはニホンミツバチは外に行かずに、ハチミツを消費しながら過ごしますが、飢えて群れが全滅することもあります。冬の飼育方法について紹介します。冬に入るまでの準備が重要です。
最も重要なのは"餌"
生き物は食べ物が少ない状態が続くと、元気が無くなったり、病気になったり、最悪の場合は餓死してしまいます。
これは、ニホンミツバチも一緒です。ニホンミツバチのエサは、植物の蜜や花粉です。周囲に蜜源植物が少なく、花の蜜や花粉が足りなくなると、群れに様々な問題が起こります。
では、なぜエサが不足するのでしょうか。それは、1カ所で多くの群れを飼育することで起こります。飼育するニホンミツバチは、他のニホンミツバチの群れ、セイヨウミツバチの群れ、他の昆虫と食料を分け合うことになります。分け合うというよりも、奪い合うという方が正しいかもしれません。
家の前などの狭い範囲で、複数の群れをると、花の蜜や花粉が不足してしまうことがあります。そうなると、ハチミツが貯まらなくなったり、調子を崩してしまいます。ニホンミツバチの場合はせいぜい数群れが限界の場所が多いです。
とは言っても、周囲の蜜源の量は見た目では分かりませんし、その地域で飼われているミツバチと野生に住むミツバチ、他のハナバチをすべて把握することも困難です。
まずは、1 群れだけ置くようにしてください。たくさんハチミツが貯まるようであればもう1 群れ増やし、反対にハチミツが採れなければその場所では飼育は難しいので別の場所での飼育を考えましょう。
分蜂時期に群れが増えて、そのまま同じ場所で飼育し続けることで、蜜源不足はよく発生します。必要に応じて巣箱を移動させてください。移動方法については以下のページで紹介しています。
ニホンミツバチの巣箱を移動させる方法を紹介します。正しく移動させないとミツバチが迷子になってしまい、大変なことになります。
あくまで自然任せの飼育方法です
これまで述べたように、重箱式巣箱の飼育は、シンプルな箱にニホンミツバチが住み着いただけの状態です。
手間はかからないという長所の一方で、管理には限界があります。また、ネット上で紹介されている飼育管理上のコツとして紹介されているものの中でもほとんど効果がないものが多いです。
気になる方法があれば、ミツバチQ&A で質問して様々な方の意見を聞いてみてください。
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