キンリョウヘン(金稜辺)とは

更新日:2021年04月28日

ニホンミツバチを誘引するため、蜜蜂蘭(みつばちらん)とも呼ばれるキンリョウヘン(金稜辺)。ニホンミツバチの養蜂家に大変人気があります。ニホンミツバチを飼育するなら、キンリョウヘンについて知っておきましょう。

キンリョウヘンについて動画で紹介しています。このページの内容を動画にまとめました。

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キンリョウヘンはニホンミツバチを誘引する花

キンリョウヘンは中国原産の蘭です。日本に持ち込まれ、明治時代には栽培が流行しましたが、近年は派手な花の咲くシンビジュームが好まれ、地味な花のキンリョウヘンは園芸種としてはあまり人気がありません。近年、注目されている理由は、キンリョウヘンの花がニホンミツバチを誘引するからです。

キンリョウヘンの花がニホンミツバチの分蜂群れを誘引するので、開花したキンリョウヘンを巣箱の横に設置しておくと、ニホンミツバチが入居する可能性が高くなります。

次の動画では、キンリョウヘンに多くのニホンミツバチが殺到するように誘引されています。キンリョウヘンの花に、たくさんのニホンミツバチが集まっているのがわかるでしょうか?

このニホンミツバチ達は、新しい巣の場所を探す探索蜂です。しばらくすると群れ自体が大群でやってきました

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キンリョウヘンは集合フェロモンの作用でニホンミツバチを誘引する

では、キンリョウヘンはどうやってニホンミツバチを誘引するのでしょうか? 蜜を出して集めると思っている人もいますが、そうではありません。

そもそも、ニホンミツバチがなぜ花を訪れるかというと、花の蜜と、花粉を集めるためです。花はミツバチに蜜を提供する代わりに、受粉してもらいます。

しかし、キンリョウヘンの花には蜜がありません。キンリョウヘンの研究で著名な菅原道夫先生は著書の「ミツバチ学」の中で、キンリョウヘンの花には蜜がないと述べています。

また、ニホンミツバチはキンリョウヘンの花粉も集めることができないと同書の中で述べられています。

キンリョウヘンの場合、ミツを出す蜜腺は, 花外蜜腺といって花の外, 茎から花が出る付け根にあります.花にはミツを出す蜜腺がないので花からはミツは出ません.

本来であれば、ニホンミツバチにとってまったく訪れるメリットがないのです。しかし、キンリョウヘンはニホンミツバチの集合フェロモンを発して、ニホンミツバチを呼び寄せて、結果的に受粉を行わせます。

これはとても興味深い性質です。キンリョウヘンは、ニホンミツバチを騙して受粉だけさせているとも言えます。少なくとも、ニホンミツバチにメリットはありません。

不思議な香りでキンリョウヘンに引き寄せらちゃう・・・

キンリョウヘンは中国原産ですので、元々は中国で中国に生息しているトウヨウミツバチを誘引します。キンリョウヘンは日本に鑑賞目的で人間によって持ち込まれたのですが、中国のトウヨウミツバチの親戚にあたるニホンミツバチもキンリョウヘンに誘引されるのです。

また、タイに生息するトウヨウミツバチの亜種も、キンリョウヘンに誘引されるそうです。これらは菅原道夫先生の著書の「ミツバチ学」「比較ミツバチ学」の中で詳しく述べられていますので、興味のある方は読まれることをお勧めします。

ニホンミツバチの捕獲は自然が相手です。キンリョウヘンを使えば必ず捕獲できるということではありません。期待しすぎないように注意してください。

キンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した待ち箱ルアーが登場

キンリョウヘンの効果は大きく、愛好家の方には「キン様」と呼んでありがたがる人もいます。

ニホンミツバチの養蜂家の多くがキンリョウヘンを栽培しています。キンリョウヘンをうまく栽培できるかが、ニホンミツバチの捕獲数を大きく左右します。

キンリョウヘンがニホンミツバチを誘引の仕組みは昆虫研究者の注目を集め、最終的に京都学園大学の坂本文夫先生、菅原道夫先生を中心とする研究グループにより明らかにされました。2014年にはキンリョウヘンの誘引成分を化学的に合成した待ち箱ルアーが発売されました。

待ち箱ルアーについて詳しくは次の動画をご覧ください。

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待ち箱ルアーが発売されるまでは、キンリョウヘンをうまく栽培できるかが、ニホンミツバチの捕獲の鍵を握っていると言っても過言ではありませんでしたが、待ち箱ルアーによってキンリョウヘンの誘引力を手軽に利用できるようになりました。

待ち箱ルアーのような製品が誕生するほど、キンリョウヘンは広く認識され、利用されていたと言えます。

ほとんどの愛好家がキンリョウヘン、または待ち箱ルアーを利用

実際に、キンリョウヘンはどのくらい使われているのでしょうか?

私たちは分蜂マップという分蜂の捕獲報告システムを運営し、日本全国から受け付けています。

報告の際には、ニホンミツバチの誘引に何を使ったかを記入します。その集計結果から、驚くほど多くの人がキンリョウヘンや待ち箱ルアーを使っていることが分かりました。

2018年の分蜂マップの捕獲報告では、ニホンミツバチが自然に巣箱にやってきたもののうち、90%にキンリョウヘンまたは待ち箱ルアーが利用されています。

  • 待ち箱ルアー利用 45%
  • キンリョウヘン利用 45%
  • どちらも利用しない 10%
キンリョウヘンか、待ち箱ルアーのどちらかを使うのはもう常識と言える状態です。
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