ハチミツの保存方法。濾過、糖度管理と発酵の対策

更新日:2021年05月24日

採れたハチミツはろ過してゴミを取り除いたのち、容器に入れて保存します。自家製の天然ハチミツは、正しく管理しないと、市販品のように常温保存ができない場合があります。また、結晶化もします。正しい保存知識を学んでください。

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ハチミツが発酵する?とは

ハチミツが発酵するということは、あまり知られていません。また、市販のハチミツは、まず発酵することはありません。このため、発酵についての質問もたくさん寄せられます。ここでいうハチミツの発酵というのは、アルコール発酵のことです。

自然界に存在する酵母によって、ハチミツの糖がアルコールに変換されます。そのとき、二酸化炭素が発生するため、ポコポコと泡が出てきます。

発酵の原因は糖度不足

ハチミツの発酵は、ニホンミツバチの飼育では、特に珍しいことではありません。ニホンミツバチのハチミツは、一般にセイヨウミツバチのハチミツよりも糖度が低いと言われています。また重箱式巣箱では、最上段を丸ごと分離します。

このため、巣房にフタがされていない、糖度が低い未完成のハチミツを多少一緒に採っていても分かりません。このような理由から、ハチミツの糖度が低くなることがあります。糖度が79度未満のハチミツは気温が高い季節に発酵する恐れがあります。

巣の中で花の蜜からハチミツへ「濃縮」される

花から蜜を集めた蜜蜂は、体内にある酵素の働きで花の蜜をハチミツに変えていきます。そのできたての蜜を有名なハニーコーム、六角形の巣に蓄えていくのです。実は、この出来立ての蜜は、水分を多く含んでいて甘味もまだまだ少ないのです。野山で、直接花の蜜を吸ったことがあれば、その味も想像できると思います。

ここから、蜜蜂の羽でパタパタと空気を送って水分を蒸発させていくのです。実は、巣箱の中でこのような活動もしているのです。蜜の糖度が78%程度になるとヨイショ!ヨイショ!と蓋をして、大切なハチミツと外気とを遮断するのです。こうして、ハチミツができます。

販売するならハチミツの糖度管理が必須

販売を考えている方は、瓶詰めの前にハチミツの糖度を計りましょう。ハチミツの販売を行う場合は、とても重要な作業です。私たちは、デジタル糖度計を利用しています。価格は3万円程度するので、自家消費以上にたくさんハチミツが採れて、ハチミツを販売したり、贈答品として使うようになったら、購入するとよいでしょう。

ハチミツ専用の糖度計というものはあるか分かりませんが少なくともそういったものを買う必要はなく汎用的な糖度計で、高い糖度を計測できるものをお使いください。具体的には70度から85度前後の糖度をカバーできるものです。

価格は少し高いですがデジタル表示のものが使いやすくオススメです。アマゾンなどのネットショップで購入することができます

なお、採取した年には夏に発酵が起こらなくても、冬になり結晶化したものは、翌年に発酵することがあります。これは、ハチミツの一部が結晶になることで、残された液体の部分の糖度が低下するためです。採取直後に発酵しなかったからといっても油断はできません。

ハチミツの栄養素を壊さずに糖度を上げる

糖度を上げるには、ハチミツ中の水分量を減らす必要があります。温めてしまえば水分が飛んでいきそうですが、ハチミツは40度以上で加熱すると栄養素が破壊されてしまうので、これは避けなければなりません。そこで、最近では乾燥剤を使う方法が広く知られています。

密閉容器に、乾燥剤と一緒にビンのフタを開けたハチミツを置きます。条件にもよりますが、糖度を1日に1度程度上昇させることが可能です。採蜜量が増えてきたら、押入用の小型電動除湿機を使うと経済的です。

糖度を上げずに発酵を抑えるには冷蔵庫で保存

ハチミツが発酵しても食べることはできますし、その風味を好む人も多いです。

冷蔵庫で保存しておけば発酵の進行を抑えられます。

ハチミツの量が少なく、販売しない場合はこれで十分でしょう。

ハチミツが白く固まるのは異常?

これはハチミツ本来の特性で、異常ではありません。

ハチミツの糖分が結晶化しているものです。肌寒くなってくる季節には、ニホンミツバチのハチミツはほぼ間違いなく結晶化が始まります。

採れたハチミツを後から小瓶に分けようと思っている場合は、結晶化を前提としたスケジュールで瓶詰めを行ってください。

ハチミツの中でも、全体が結晶化するもの、一部だけ結晶化するものがあります。ハチミツの糖分は、果糖とブドウ糖ですが、このうち果糖が多いアカシア蜂蜜などは結晶化しにくいことが知られています。

ニホンミツバチの場合は百花蜜なので、地域や季節等の条件で果糖とブドウ糖の割合が異なります。このため、結晶のしやすさに若干の違いがあります。

ハチミツの結晶について詳しくは次のページをご覧ください。

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結晶を溶かす場合は温度に注意

結晶のまま食べる分にも、全く問題はありません。

また、日本では結晶のままハチミツが売られることが少ないですが、それもちゃんとお客様に説明し納得してもらえば問題ないと思います。

冬のハチミツとして、あるべき姿が結晶状態であるからです。結晶を溶かす場合は40度から50度くらいのお湯で湯煎しましょう。

あまり高い温度で湯煎すると、ハチミツの栄養素が破壊されてしまいます。

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とんがり頭の容器は結晶に弱い

スーパーで売られているハチミツは、プラスティックの容器に入ったものが多いです。

先端が直径数mmになっていて、ハチミツが取り出しやすくなっています。こういった容器に入ったスーパーのハチミツは、結晶にならないように加工がされています。

自宅で採れた天然のニホンミツバチのハチミツを入れると、結晶になってしまって取り出せなくなります。湯煎すれば溶けるのですが、寒い時期はすぐに結晶に戻ることも多いので不便です。

なるべく、スプーンで結晶部分を取り出すことのできる口の大きなビンの容器に保存することをおすすめします。ビンは、100円均一やホームセンターで購入できます。

結晶するハチミツは偽物と思っている人もいます

結晶するハチミツには、砂糖が加えられていると思っている人がいるので、プレゼントや販売の時には注意しましょう。

ハチミツが結晶化するのは当たり前で、多くの国では結晶化したままで販売されています。

日本では食品の見た目へのこだわりが強いので、結晶化したハチミツが受け入れられにくい風土があるのでしょう。

スーパーなどで売られているハチミツは結晶化していないものばかり、「結晶化する = まがい物」 という認識を持っている人もいます。

自家製ハチミツを親戚や知人に差し上げる際には、結晶について説明されることをお勧めします。

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