ニホンミツバチの飼育では、寒さ対策よりも暑さ対策が重要です。暑さで巣が落下し、群れが失われることもあります。
夏は暑さと巣落ちに注意
寒冷地以外では、暑さ対策がとても重要です。暑くなるとたくさんのニホンミツバチが、巣箱の外に涼みに出てくることもありますが、より深刻なのは、巣落ちです。暑さで巣が柔らかくなり、重さに耐えられなくなった巣が丸ごと落下してしまうのです。
特に、重箱式巣箱では、採蜜した後に巣落ちしやすいので注意が必要です。弊社の巣箱は、巣落ちしにくいように構造を工夫しているのと、採蜜のタイミングも見極めていますが、これまで数回巣落ちしたことがあります。
巣落ちしたのは、コンクリートの壁の照り返しで予想以上に高温になった場合、遠くに置いてあった巣箱のため、通常1段のところを無理して2段採取した場合などです。
とは言っても、これまでの20年以上の経験で中でわずかな頻度です。巣落ちは正しく管理すればまず起こらないと考えてください。
打ち水は酷暑では限界
ニホンミツバチは暑さが厳しくなると水を集めて巣に持ち帰り、打ち水の効果で温度を下げようとします。次の写真は、巣箱から数十メートル離れた池の浅瀬で水を集めていた様子です。
このような暑さ対策をニホンミツバチは行いますが、近年は夏の気温がどんどん上昇していますし、民家周辺はコンクリートや壁の日光の照り返し等で暑くなることもあるため、限界があります。
日陰の涼しい場所に巣箱を設置しましょう
ニホンミツバチは、もともと森の中の木などに巣を作る場合が多いです。暑い日に林や神社などにいくと、涼しく感じた経験を持つ人は多いと思います。
ニホンミツバチは元々そういった涼しい場所に巣を作りますが、人間が庭先などで飼育する場合はどうしても暑い場所が多くなります。草地の木陰などのできるだけ涼しい場所に設置してください。
日当たりが悪いと良くないのでは?と気にされる方も多いですが、在来種のミツバチなので、湿度が高い日本の気候には適応しています。木陰や日陰でも全く問題ありません。
日が当たる場所は遮光しましょう
直射日光が巣箱に当たると、巣箱の外壁が高温になります。この熱が壁を通して中に伝わると、巣が壁に接している部分が高温になり巣落ちに繋がります。
直射日光が当たる場所に設置する時は、遮光を行ってください。コンクリートの地面や壁が近く、直射日光の照り返しや、巣箱周辺に熱がこもるような場所では特に注意が必要です。
全体を遮光できない場所でも、日除け板をつけると効果が大きいです。
大きすぎる巣箱はNG。板厚も重要
巣落ちしやすい巣箱、しにくい巣箱があります。まず、大きすぎる巣箱は巣落ちしやすいです。週末養蜂では、重箱式巣箱の縦と横の寸法は、22cm四方を使っています。
大きくなればなるほど、構造的に巣を支えにくくなり、巣落ちの危険が増します。板厚は厚めのものを利用しましょう。直射日光等があたり、巣箱の外壁が高温になると、壁を通して熱が内部に伝わります。伝わる熱の量は、板厚に反比例します。
週末養蜂の巣箱は35mmの板厚で、かなり厚めです。もしこれが17mmなら、2倍の熱が伝わることになります。
また、巣落ちを防ぐため、重箱式巣箱に巣落ち防止棒を取り付けるのが一般的です。ただ、ほとんどの方が巣落ち防止棒をつけていますが、それでも巣落ちしてしまったと言う報告を目にします。
弊社では細い針金の巣落ち防止棒ですが、それよりも太い木の棒の巣落ち防止棒でも巣落ちが発生しているのを見ると、巣落ち防止棒だけで巣落ちを防ぐことはできません。あくまで補足的なものと考えてください。
また、太すぎる巣落ち防止棒は営巣の邪魔となり、ニホンミツバチの入居率が下がる恐れもあります。
週末養蜂で利用している重箱式巣箱については詳しく紹介しています。
夏は巣落ちしやすいので、なるべく採蜜を避けましょう。
重箱式巣箱で飼育する場合、夏場の採蜜はなるべく避けましょう。初心者の方によくあるのが、春にニホンミツバチを捕獲し、夏に掲示板やブログなどで他の人が採蜜しているのをみて、自分もやってみようと早い段階で採蜜してしまうことです。
巣が十分に成長しないまま、気温が高い時期に採蜜をすると、巣落ちの危険が大きいです。残念ですが、巣落ちしてしまうと、その群れはダメになってしまいます。このため、採蜜は秋の涼しくなる時期まで待ちましょう。
弊社でも初夏に採蜜することはありますが、それは春に入居した群れではなく、前年から越冬した群れです。春に入居した群れから夏に採蜜するのはかなり稀です。
採蜜のタイミングや方法は次のページで紹介しています。