アカリンダニは海外から侵入したダニで、2010 年に長野で発見された後、急速に日本各地に広がり、大きな被害を出しています。
アカリンダニとは
アカリンダニは、ミツバチの気管に寄生する大変小さなダニです。体長はわずか 0.1〜0.2mm 程度で、肉眼では確認できません。
ミツバチは体の側面にある「気門」から空気を取り込み、気管を通じて全身に酸素を届けています。アカリンダニはこの気管の中に入り込み、卵を産みつけて繁殖します。気管が成虫や卵で塞がれると、ミツバチは十分な酸素を体内に取り込めなくなります。
その結果、飛翔に必要な筋肉や発熱に必要な筋肉がうまく働かなくなり、巣箱の周りを徘徊(はいかい)したり、越冬中に蜂球(ほうきゅう)の温度を維持できなくなったりします。人間でいえば、寒い冬に暖房が壊れた状態で凍えるようなものです。ハチミツを多量に残したまま群れが全滅してしまうのは、アカリンダニ被害の典型的な症状です。
アカリンダニについては、アカリンダニ研究で著名な前田太郎氏のホームページ、守ろう!ニホンミツバチプロジェクト内で詳しく説明されています。
弊社が京都ニホンミツバチ研究所と共催した京都ニホンミツバチ養蜂研究会でも、前田氏に講演していただきました。最も信頼できるホームページです。
アカリンダニは日本全国に広がっている
アカリンダニ症は、2010 年に長野県で初めて報告されました。その後、あっという間に日本中に広がってしまいました。
初期は中部地方や関西、関東などが中心に被害が出ていたようで、京都府でも 2010 年代前半に大きな被害が発生しました。その一方で、九州や離島などでは未侵入地域もありました。しかし、2026 年現在ではアカリンダニが侵入していない地域はほとんど残っていないと考えられます。
ただ、当初のような大きな被害が出ることも減ってきています。弊社では全群の検査を研究機関に依頼していますが、アカリンダニの寄生群は以前と比べると大幅に減っています。また、寄生されても回復する群れも増えています。
野生の巣も大きく減ってしまいましたが、今後の回復が期待されます。
私たちの仲間が全国で減ってしまったけど、最近は回復の兆しも見えてきたんだ。諦めずに頑張っているよ!
アカリンダニの症状
アカリンダニに寄生されると、以下のような症状が見られます。
- 巣箱周辺の徘徊 — 飛べなくなったミツバチが巣箱周辺を歩き回る
- K ウイング — 後翅が閉じずに横へ飛び出す異常。通常ミツバチの羽は体に沿って閉じているが、K ウイングでは後ろの羽がアルファベットの「K」の字のように横に開いてしまう
- 越冬失敗 — ハチミツを大量に残したまま群れが全滅する
詳しい症状については、前田太郎先生のホームページのアカリンダニの症状|守ろう!ニホンミツバチプロジェクトがおすすめです。
ただ、はっきりとわかるような症状が出たときには末期状態となっています。一見すると元気な群れに見えるのに、多数の働き蜂がアカリンダニに寄生されていることも珍しくありません。
寄生の有無は解剖検査で調べる
最も確実なのは、一定数の働き蜂を解剖し、気管の中のアカリンダニの卵や成虫の有無を確認する方法です。次の動画では、アカリンダニ解剖検査の様子を紹介しています。
顕微鏡を購入すれば、自分で検査できます。しかし、かなり細かい作業なので、自力での検査が難しい場合も多いです。
家畜保健衛生所によっては、アカリンダニ検査をしてくれる場合があります(有料の場合あり)。
メントールによる対策
アカリンダニの対策としては、巣箱内にメントールを入れる方法があります。
ただし、日本ではアカリンダニ対策としての動物用医薬品は認可されておらず、メントールも登録薬剤ではありません。使用にあたっては法律面も含め、各自で十分に確認してください。
















