アカリンダニと、メントールによる対策方法
アカリンダニの対策として、メントールがあります。メントールの対策は、もともと海外でセイヨウミツバチのアカリンダニ被害が発生した際に用いられたものです。ニホンミツバチでも有効であることが分かっています。
アカリンダニとは
2010年に長野で発見された後、急速に日本各地に広がったアカリンダニ症では、大きな被害を受けた地域もあります。アカリンダニの診断方法や発生地域などは、前田太郎先生のホームページ、守ろう!ニホンミツバチプロジェクト内で詳しく説明されています。
前田先生はアカリンダニ研究で著名です。京都ニホンミツバチ研究所と共催している京都ニホンミツバチ養蜂研究会でも、前田先生に講演していただきました。最も信頼できるホームページです。
アカリンダニ症は、2010年に長野県で初めて報告されたのち、あっという間に日本中に広がってしまいました。
人為的な巣箱の移動により、拡散が加速した可能性があります。群れの長距離移動はアカリンダニ症等の病害虫の被害を広める恐れがあります。
2022年現在のアカリンダニの分布
アカリンダニは日本全国に広がっています。
最初に発見されたのは2010年の長野です。初期は中部地方や関西、関東などが中心に被害が出ていたようで、京都でも2010年代前半に大きな被害が発生しました。
その一方で、九州や離島など未侵入地域もありました。しかし、2022年現在ではアカリンダニが侵入していない地域はほとんど残っていないと考えられます。
ただ、当初のような大きな被害が出ることも減ってきています。どこでどのくらいの被害が発生しているのかは分かりません。
ミツバチQ&Aで、地域の発生状況をお尋ねになることを勧めます。
アカリンダニの症状
アカリンダニはニホンミツバチの気管に寄生します。
気管に成虫や卵が詰まり、ミツバチが呼吸できなくなり、巣箱の徘徊が見られたり、越冬中に温度を維持できなくなり、ハチミツを多量に残したまま死滅するのが代表的な症状です。
詳しい症状について、前田太郎先生のホームページのアカリンダニの症状|守ろう!ニホンミツバチプロジェクトがおすすめです。
ただ、はっきりとわかるような症状が出たときには末期状態となっています。
一見すると、元気な群れに見えるのに、多数の働き蜂がアカリンダニに寄生されていることも珍しくありません。
解剖検査
最も確実なのは、一定数の働き蜂を解剖し、気管の中のアカリンダニの卵や成虫の有無を確認する方法です。
次の動画では、アカリンダニ解剖検査の様子を紹介しています。
顕微鏡を購入して、自分で検査を行うこともできます。しかし、かなり細かい作業なので、自力での検査が難しい場合も多いです。
家畜保健衛生所によっては、アカリンダニ検査を行ってくれる場合があります(有料の場合あり)。
メントール対策の方法
ここでは、メントールの対策についてご紹介いたします。
メントールは食品添加物として使われており、危険性は低いものです。また、海外でセイヨウミツバチのアカリンダニ症が問題となった時に利用され、実績があるものです。
ただ、日本の法律ではメントールをアカリンダニ対策として用いることは、認可されていない薬品を養蜂に用いることとなり、薬機法に触れますので自己責任で行う必要があります。
また、メントールの使用方法を間違うと群れが全滅することもあるため注意が必要です。
メントールは予防的な側面が強い
メントールは、アカリンダニに寄生されたミツバチから別のミツバチにアカリンダニが移るのを妨げる効果であり、すでに寄生されたミツバチを治療するものではありません。
このため、アカリンダニが群れ全体に広がってしまった群れに、メントールを入れても、すぐにアカリンダニがいなくなり症状が改善するということはありません。
繰り返しになりますが、メントールはニホンミツバチの気管内にいるアカリンダニを殺すわけではないので、予防的な処置と言えます。
アカリンダニの症状が出た後のメントールの利用の効果
すでに目に見える症状が出てから、メントールを使って症状を改善したいというお問い合わせがありますが、この場合はメントールを使っても回復の望みは低いです。
アカリンダニの寄生の初期には、眼に見えるような症状は現れません。徘徊などの症状が確認できるようになった段階では、群れの多くのミツバチがアカリンダニに寄生されており、群れは消滅に向かっています。
メントールはニホンミツバチに寄生したアカリンダニを殺すのではなく、群れの中の他のニホンミツバチに寄生が広がるのを防ぐものです。
このため、すでに症状が出てからメントールを入れてもほとんど効果が期待できません。