「くまのプーさん」のイメージ通り、熊(クマ)はハチミツが大好物です。しかし実は、熊が本当に狙っているのはハチミツだけではありません。巣の中にいる蜂の子(幼虫やサナギ)も、栄養豊富で熊にとって格好のごちそうなのです。
山間部でニホンミツバチを飼育するなら、熊対策は避けて通れません。巣箱を丸ごと破壊されるケースも珍しくないため、しっかりとした対策が必要です。
クマは恐ろしい天敵
ニホンミツバチの飼育で、特に注意が必要なのはクマです。巣箱を破壊してハチミツを奪う恐ろしい天敵です。
群れやハチミツを失うだけではなく、巣箱まで壊されてしまいます。私たちは厚さ 35mm の杉板を使って巣箱を作っていますが、これほどの厚さの巣箱でも破壊されてしまいます。クマの力はものすごいです。
次の動画では、熊に巣箱を倒されてしまい、群れも逃げ出してしまいました。
クマの生態を知る
日本には 2 種類のクマが生息しています。本州・四国にはツキノワグマ、北海道にはヒグマがいます。どちらも雑食性で、野生下でも昆虫類をよく捕食しています。
ニホンミツバチは北海道に生息していないため、ニホンミツバチの飼育で問題になるのはツキノワグマです。
クマは非常に知能が高く、一度味を覚えた餌場には繰り返し訪れます。養蜂場が一度被害を受けると、何度も狙われてしまうのはこのためです。「味をしめた熊」は危険を冒してでも何度も来るため、最初の被害を出さないことが何より重要です。
熊はなぜやってくるのか
熊は、ハチミツや幼虫を目当てにやってきます。ニホンミツバチの巣箱には、多い時には 10 キロ以上のハチミツが貯まっており、クマにとっては大変魅力的です。
巣の中には大量のサナギもいます。蜂の子は豊富なタンパク質と脂質を含む、栄養価の高い貴重な食料です。巣を襲えば、ハチミツと蜂の子をまとめて手に入れることができます。
クマは主に春から秋(4 月〜11 月頃)にかけてやってきます。冬は通常冬眠していますが、暖冬の年には冬でも活動していることがあるため、油断は禁物です。特に秋は冬眠に備えて食欲が増しているため、被害が出やすい時期です。
熊被害が出やすい時期と地域
熊による被害が特に多いのは、冬眠前の秋(9〜11 月)です。この時期、熊は冬眠に備えて食欲が爆発的に増しており、栄養豊富なハチミツと蜂の子は格好のターゲットになります。
熊の生息数が多い東北地方や中部地方では特に被害が多い傾向があります。一方、九州では熊は絶滅しており、四国でも生息数が非常に少ないため、これらの地域では熊の心配はほぼありません。お住まいの地域で熊が生息しているかどうかは、市区町村の鳥獣対策担当に確認するとよいでしょう。
熊対策には電気柵
対策としては、電気柵で巣箱を囲う方法があります。電源がない場所ではソーラー式となり、一式 10 万円ほどになります。自治体によっては補助金が出る場合もあるので、問い合わせてみるとよいでしょう。
電気柵を適切に設置・管理していれば、熊にやられることはほとんどありません。ただし、下草刈りやバッテリー残量の確認といった定期的なメンテナンスが重要です。下草が伸びて電線に触れると電圧が下がり、効果が失われてしまいます。
熊が来ないと思って電気柵をしていなかった場所や、設置が遅れてしまった場所では、熊に襲われることがあります。
熊の出没する地域でも、山側との間に交通量の多い道があるなど、被害が出にくい場所もあるので、そういった場所を選ぶのも有効です。
ニホンミツバチを山の中で飼育すると熊にやられる可能性が高いです。このため本州では、山の中で飼育する人は少ないです
電気柵のメンテナンス
電気柵は設置して終わりではありません。定期的なメンテナンスを怠ると効果が失われ、熊に突破されてしまいます。
主なメンテナンス項目は以下の通りです。
- 下草刈り — 草が電線に触れると漏電し、電圧が下がる。柵の周囲は定期的に刈り払う
- バッテリー確認 — ソーラー式の場合、曇りの日が続くと充電不足になる
- 電圧チェック — テスターで定期的に電圧を確認し、基準値を下回っていないかチェックする
熊が来にくい飼育場所の選び方
電気柵を設置する前に、そもそも熊の被害が出にくい場所を選ぶことも重要な対策です。
熊が来にくい傾向のある場所は以下の通りです。
- 交通量の多い道路沿い — 車の音や人の気配があり、熊が近づきにくい
- 住宅地に近い場所 — 人の生活圏は熊が避ける傾向にある
- 家の裏庭や軒下 — 周囲の田畑などと比べて熊が近づきにくい。
山の中に巣箱を置くと、九州など熊が生息しない地域を除いて、まず間違いなく被害を受けてしまいます。自宅の庭や畑など、人の生活圏で飼育することをおすすめします。
近隣住民の安全・不安を考慮してください
クマの出没する場所では、近隣住民の不安も考慮する必要があります。
近年、クマによる人的被害が各地で報告され、ニュースで取り上げられることも増えています。こうした背景から、クマに対して以前より神経質になっている方も多いです。「ハチミツを置くと熊が来るのでは」と心配される近隣住民の気持ちに配慮し、円満に飼育できる環境を整えることが大切です。
弊社の活動地域は山に囲まれていて、熊が生息しており、市街地に近い場所でも出没しています。果樹を食べた痕跡が見つかることも多く、熊は比較的身近な存在です。
夜中に熊だけでなく、鹿やイノシシも里に降りてくるのが当たり前で、かといって熊が人間を積極的に襲うこともないことは十分に理解されています。
ただ、近隣住民が「ハチミツで熊がやってくる」と不安になる場合もあり、そういった場所では飼育をしていません。














