養蜂振興法とは
農林水産省のホームページには、 「蜜源をめぐるトラブルの発生防止、適切な飼育管理による蜂病のまん延防止等が重要な課題となっています。このため、蜂群配置の適正の確保及び防疫の迅速かつ的確な実施を図るために、、、」と少々難しい説明がされています。簡単に言うと、飼育者が同じ場所に集中するとミツバチたちが花の蜜を奪い合うため、ハチミツの生産量が減ります。養蜂業者にとっては大きな問題となり養蜂者同士のトラブルにつながります。養蜂業者がそれぞれ飼育数と場所を申告し、必要に応じて配置場所か数を調整します。
また、ミツバチの病気の対策も大きな目的の一つです。病気の検査を行い、万が一発生したときには蔓延を防ぐために情報を飼育者に伝えるために、行政がミツバチの飼育情報を把握しておく必要があります。
こういった目的から、以下のような項目を法律で定めています。
- 蜜蜂飼育者の都道府県に対する届出義務
- 転飼養蜂(県域を越える蜂群の移動)の許可制
- 蜜蜂の適正な管理
- 蜜源植物の保護増殖の努力義務
ニホンミツバチであっても、セイヨウミツバチであっても、この法律に従う必要があります。
また、法律の運用については、都道府県で違いがありますので、直接窓口に確認するようにしてください。
趣味のニホンミツバチでも、飼育届は必要
平成25年1月1日に改正されるまでは、業ではなく、趣味で飼育する場合なら届け出は不要でした。
趣味での飼育も飼育届が必要になったため、趣味で飼育されていたニホンミツバチも飼育届が必要になりました。
そのため、昔からニホンミツバチを飼育されている方の中には、届け出が不要と思っておられる方もいるかもしれませんが、改正後はニホンミツバチでも飼育届が必要になっています。違反することのないように気をつけてください。
※令和5年11月の農林水産省の通知により、届出が必要な対象者が拡大されました。
ミツバチの飼育届の窓口は、各都道府県にあります
飼育届の窓口は、自分が住んでいる都道府県を通して行います。各都道府県が窓口を用意しています。「みつばち飼育届 京都」などのように、都道府県名と一緒に調べてください。
例えば、京都府では次のページで飼育届の方法を解説しています。
蜜蜂飼育届の提出について| 京都府例えば、弊社の活動地域では、住所地の市役所、町村役場を通じて行なうことになっています。1月31日までに、年内に飼育を予定している人も含めて飼育届を出す必要があります。
1月31日を過ぎた場合でも提出ができるようですので、例えば、2月半ばに捕獲にチャレンジすることを決めた場合でも、その時点で問い合わせてください。
ネット上には様々な情報がありますが、細部の運用については都道府県によって違いがあるため、それが住んでいる地域に当てはまるとは限りませんし、運用方法が変更されることもあります。
飼育場所についての条例やルールについても確認する必要がありますので、飼育届の窓口に必ず問い合わせてください。
趣味の飼育が許可されないことはある?
法律の目的として、蜜源の適切な管理がありますので、他の人によってミツバチが設置されている場所の近くに巣箱を設置しようとした場合は、当事者同士で調整することになります。
ニホンミツバチの飼育を自宅周辺で数群れ飼育する場合、調整が必要となるケースは稀ですが、地域によって大きく状況が異なります。
特に、養蜂が盛んな地域では、趣味で飼育する場合でも他の養蜂家さんとの調整が必要になる場合があります。
条例も確認しましょう
養蜂振興法は、日本全国に適用されます。加えて、条例として、都道府県や市町村がミツバチの飼育について定めている場合があります。
有名なのは、大阪府蜜蜂の飼育の規制に関する条例です。蜜蜂の巣箱の設置場所について定められています。
ミツバチの飼育届を出す際の窓口で担当者に聞いたり、インターネットで自分の住む行政区のルールを調べてください。
マナー、モラルを守ることは、飼育届や許可以前の問題
ニホンミツバチの飼育に当たっては、養蜂関連以外の法律も守るようにしましょう。
ニホンミツバチの飼育者の中には、公共の土地に勝手に巣箱を設置する人もいます。これは、もちろん、他人の土地を占有していることになり法律に違反します。
ミツバチの糞害の問題、分蜂で、トラブルが起こることもあります。マナー、モラルを守ることは、法律を守る以前の問題です。特に、住宅が近い地域で養蜂される方は、十分に気をつけてください。
マナーを守らない飼育者が増えると、養蜂を制限する法律ができる可能性もあります。ニホンミツバチの飼育での近所迷惑については次のページで紹介しています。