Q巣箱のニホンミツバチが突然いなくなりました。原因を教えてください
ニホンミツバチは、環境が悪化し、群れの存続が危うくなると、別の場所に巣を作り直します。「逃去」や「逃亡」など呼ばれます。元気な群れが逃亡することは稀です。
環境が悪化し、群れの存続が危うくなると、ニホンミツバチは別の場所に巣を作り直します。これを「逃去(とうきょ)」や「逃亡」と呼びます。元気な群れが逃亡することは稀です。
逃去とは
ニホンミツバチは、巣の環境が悪くなると、群れ全体で別の場所に引っ越します。これが「逃去」です。
逃去は分蜂とは異なります。分蜂は群れを増やすための繁殖行動ですが、逃去は今の巣を捨てて全員で移動する緊急避難のようなものです。
外敵に襲われた場合
オオスズメバチや熊に襲われる、また襲われそうになる、危険を感じると逃亡することがあります。熊もオオスズメバチも、ニホンミツバチがかなう相手ではありません。
次の動画では、オオスズメバチに襲われた群れが巣から逃げ出しました。
人間が巣箱に振動を与えたり、頻繁に開け閉めして刺激を与えすぎると逃亡することがありますが、これも外敵の危険を感じたためと推測されます。
オオスズメバチと熊については以下のページで対策を紹介していますので、ぜひお読みください。
スズメバチの対策
スズメバチの中でも、キイロスズメバチはニホンミツバチの巣箱に頻繁にやってきます。オオスズメバチは世界最大のスズメバチで、ニホンミツバチの群れを全滅させることもあります。

熊対策
熊(クマ)は養蜂家の大敵。巣箱を破壊しハチミツと蜂の子を奪います。電気柵による対策や、被害が出やすい時期と場所について解説。

巣が崩壊した場合
暑さやスムシの繁殖などが原因で巣が落下するなどで壊れた場合には、一から巣を作り直すため逃去することが多いです。
なお、スムシが繁殖するのは群れが弱っているためで、スムシ以外に原因があることがほとんどです。スムシについて詳しくは次のページをお読みください。
スムシの対策
スムシはニホンミツバチの巣を食べる蛾の幼虫です。繁殖すると対処が困難になるため予防が重要。強い群れを維持し、巣箱構造を工夫することで被害を軽減できます。

また、セイヨウミツバチ用の巣枠式巣箱で飼育するとニホンミツバチが逃亡しやすいことがよく知られていますが、ニホンミツバチの性質に合わないためです。
周囲の蜜源が少ない場合
エサが少ないため、別の場所に移動して活路を求めます。このため、逃亡した後の巣にはハチミツがあまり残っていないことがほとんどです。
次の動画は、ニホンミツバチの逃去の瞬間の動画です。観察用の開放巣が逃去し、山に飛び去って行きました。
後日、巣を解体しましたが、ハチミツがわずかに残っているだけでした。蜜源が不足していたようです。
逃去はニホンミツバチの生存戦略
「ニホンミツバチは気まぐれに逃げる」と言われることもありますが、逃去した方が生存率が高いため、受け継がれてきた生存戦略です。このため、元気にハチミツをたくさん貯めている群れが逃亡することは稀です。
飼育において逃去が問題になることはあまりありません。特に重箱式巣箱の場合は、ニホンミツバチが野生のミツバチと同じように暮らしているので、環境が悪くなければ逃去することはありません。
以前、台湾を訪ねた際に、複数の養蜂家から「オオスズメバチがやってくると頻繁に逃亡する」と聞きました。ほぼ年中ミツバチが活動できる温暖な台湾では、籠城してオオスズメバチを迎え撃つよりも、さっさと逃げてしまった方が生存率が高いのかもしれません。
弊社が活動する京都府北部では、10 月にオオスズメバチが襲いにきても逃亡する群れは稀ですし、逃亡しても越冬できる可能性はほぼありません。このように気候によっても逃去の戦略は変わってくるようです。





