分蜂とは、群れが2群れに分かれること
分蜂とは、ニホンミツバチの群れが、1群れから2群れに分かれることを言います。
春になると、新しい女王蜂が生まれます。すると片方の女王蜂は、働き蜂の約半数を連れて巣を飛び出し、新たな場所に巣を作ります。働き蜂たちはお腹いっぱいにハチミツを溜め込んで出て行きます。
分蜂では、多い群れでは数万匹いるニホンミツバチの約半分が出て行くわけですから、多くのニホンミツバチが飛び回ります。
当然、分蜂の時は嵐のようなものすごい羽音がして、一斉に移動するときにはまるで雲のようです。次の動画では実際の分蜂の時の様子も紹介しています。
びっくりさせちゃうと思うけど、分蜂の時は滅多に刺さないのでそっと見守ってね
分蜂して巣を作る場所は
分蜂して巣を飛び出た群れは、元の巣の近くに固って待機します。その間に、巣を探す係の働き蜂が、巣を作るのに適した場所を探しに行きます。
引越先が決定すれば、大群で移動してその中に巣を作り始めます。小さな入り口があり、その中に巣を作るための空間が広がっている場所が必須の条件です。
自然界では大きな木の中に巣を作ることが多いです。人間が住む場所では、住居の床下や天井裏、壁の中、お墓の骨壷を収める場所などによく巣を作ります。良いところが見つからない時は、住宅の軒下など、驚くような場所に巣を作ることもあります。
次の写真は、小さなお堂の床の下に巣を作っていた時のものです。
分蜂はいつ起こる?
分蜂は春先に起こります。九州南部では3月上旬、東北では4月下旬頃から始まります。始まってから一ヶ月ちょっとがもっとも分蜂が多い時期です。その後は分蜂は減りますが、夏まで続きます。
街中にもニホンミツバチは住んでいるので、分蜂した群れが街中の信号機に集合したり、駅に大群で飛来したりという事件が起こり、ニュースで取り上げられることもあります。
分蜂の時期を正しく把握することは、ニホンミツバチの飼育を始める時にとても大切です。分蜂時期については次のページで詳しく紹介しています。
分蜂の回数は?
ニホンミツバチの群れが増えるのは、分蜂しかありません。分蜂の回数は、群れによって違います。例えば、冬を越した段階で大きな群れや、周りにエサが豊富な群れ、巣箱の中にスペースが少なくなっている群れは、よく分蜂するようです。
次の動画では2020年4月に、3つの群れの分蜂を観察しました。それぞれ、3回、6回、4回分蜂しました。
ニホンミツバチの飼育は、分蜂群を捕獲して始める
分蜂群は新しい巣の場所を探しています。そこで、巣箱を作って置いておくと、運がよければニホンミツバチの分蜂が引っ越してくれます。こうして群れを入手して、ニホンミツバチの飼育を始めることができます。
人間が飼育している群れから分蜂群れがやってくることもありますし、野生のニホンミツバチの巣からやってくることもあります。
野生のニホンミツバチを捕まえるなんて、とても面白いですね。一般に「捕獲」と言っていますが、ニホンミツバチが分蜂の時に勝手にやってくるので、入居したという方が適切な表現です。
分蜂は春先に起こるので、ニホンミツバチの飼育を始める時期は主に春に限定されます。(夏や秋にも分蜂群れを捕獲する機会はわずかにあります)
分蜂を理解することは、ニホンミツバチを飼育するために大変重要です。
分蜂群れの捕獲のコツは?
このサイトはニホンミツバチの飼育方法を解説していますが、ニホンミツバチは飼育する前に捕獲するのがまず大変です。
「ニホンミツバチを捕獲する」というのは、そのまま「分蜂群れを捕獲する」ということに置き換えることができます。
分蜂群れの捕獲方法やコツを詳しく紹介していますので、ニホンミツバチを飼育したい人は捕獲方法のコツのページをご覧ください。
分蜂とその捕獲方法は、これから始める人にとって、もっとも大事で一番先に勉強するべきものです。