分蜂群れの捕獲のコツ2. 適した場所にたくさん巣箱を設置しよう
ニホンミツバチの分蜂群れの捕獲では、捕獲に適した場所に、たくさんの巣箱を設置することが重要です。
巣箱の設置に適した場所
捕獲に適した巣箱の設置場所の条件としては、次のようなものが挙げられます。
- 見晴らしがよいこと
- 強い風が当たらない
- 強い直射日光が当たらない
- 巣箱の前に飛び立つスペースがある
- 家の庭先で飼育するならば、庭木の根元などで、人が通る場所から少し離れた場所がいいでしょう。
家の軒下などでも大丈夫です。畑に置くなら、畑の隅の木の下などにおきましょう。動画でこのページの内容を解説しています。
ニホンミツバチの巣から近い場所に巣箱を設置する
分蜂群は元の巣から遠く離れた場所に行くことはそれほど多くないようです。数百メートル以内に新しい巣を作る群れが多いと言われています。
このため、近くにニホンミツバチの群れがいることがとても重要です。
巣箱の設置場所に適していると思われる場所に設置しても、そもそもニホンミツバチが近くに住んでいなければ、分蜂群はやって来ません。
数百メートル以内にニホンミツバチが生息していれば捕獲が期待できます。反対に、近くにいなければもしそうでなければ確率は下がります。
これは、ベテラン、達人がたくさん捕獲できる理由の大きな1つです。
すでに飼育している人は、飼育している群れから出てくる分蜂群を捕まえることで、比較的容易に群れを増やすことができます。
分蜂群を捕まえる待ち箱を、飼育している群れから数百メートル以内の場所に設置することが多いです。
このため、すでにニホンミツバチを飼育をしている人は、まだ飼育していない人よりも圧倒的に有利な状況にあります。
これから飼育する人は、民家やお墓、木の洞に作られた野生のニホンミツバチの巣を見つけたなら、そこから数百メートル以内に巣箱を設置すると、捕獲の可能性が高くなります。
ただし、ニホンミツバチが歩いて引っ越せるほどの至近距離に巣箱を設置するのはよくありません。少なくとも10メートル程度は距離を離すとよいでしょう。
捕獲できない最大の原因は巣箱の少なさ
なかなかニホンミツバチを捕獲できないと言う方に相談を受けることも多いです。
しかし、よくよく話を聞いてみると、かなり運が良くないと捕獲できないなと思うことも少なくありません。
例えば、以下のようなものです。
このような場合では、自宅の周りに運良く群れがいないと、捕獲できません。ニホンミツバチが捕獲できない理由の1つが用意する巣箱が少ないことです。
これから始める初心者の場合、どこにニホンミツバチが住んでいるかも分かりません。そのような状況の中、設置場所1箇所に巣箱を数個置くのでは、経験豊かな人でも捕獲することは難しいです。
単純に巣箱をたくさん設置すれば、捕獲の確率は上がる
巣箱はなるべくたくさん作りましょう。巣箱を1つだけ用意しても捕獲の確率は低く、1割くらいと考えてください。
でも、単純に1つ置く予定を2つにすれば確率は2倍です。
飼育場所3箇所なら、家の前庭、後ろの畑、家の横の倉庫の軒下で3箇所かというと、そうではありません。
同じ場所に並べて設置するのはあまり効果的ではありません。このように近い範囲に巣箱を置く場合、1箇所とほとんど変わりません。
なるべく離れた場所に分散させて設置してください。例えば、自宅横の畑と、数百メートル以上離れた友人の家といったように離れた場所に設置してください。
なぜかというと、近く(数百メートル以内)にニホンミツバチの群れがいないかもしれないからです。
この場合、いくら巣箱をその場所に設置しても捕獲の可能性は低いです。離れた場所に巣箱を設置できる場所がなく、自宅に複数設置するしかない場合も、隣に並べるのではなく、なるべく離して設置してください。
群れが確実にいる状況、例えば、自宅で3群れ飼育していて、そこから次々と分蜂が出てくることが予想される状況では、自宅横の畑、自宅の裏庭など、多くの巣箱を近い範囲に設置するのは有効だと思います。
捕獲用の巣箱(待ち箱)は小さくても良い
巣箱をたくさん設置すればたくさんの群れを捕獲できる可能性が高まりますが、たくさん巣箱を作るのは大変です。
重箱式巣箱の場合、ニホンミツバチが営巣すると、秋には4段、5段と重箱を重ねます。しかし、分蜂群の捕獲にそれほど大きな巣箱は必要がありません。私たちは2段ずつ設置します。この場合の巣箱の中の広さは縦横22cm、高さ30cmです。
2段のままでは、秋まで飼育できませんが、捕獲してから追加すれば問題ありません。鉄製台は群れを捕獲してから機能を発揮するので、捕獲する段階では必要ありません。
コンクリートブロックや瓶ビールのケースなどを台にして、地面から少し高い場所に巣箱を設置してください。また、写真では専用の屋根を使っていますが、この段階では板を巣箱の上に乗せるだけの簡単なもので大丈夫です。
春に待ちばこが足りない方には、販売もしています。詳しくは次のリンクをお読みください。
捕獲に適した2段構成の重箱式巣箱のセットです。捕獲に必要な部分のみで構成しているお求めやすい価格の巣箱です。
ご購入はこちらから
設置場所については、あまり神経質にならず、置けるなら置く
捕獲するのに好条件と考えられるものの他にも、本やインターネットでは巣門の向きなどいろいろとコツが紹介されています。
ただ、本当に影響があるのか、はっきり分からないものがほとんどです。
例えば、「見晴らしが良い」という点について考えてみましょう。
実際には、見晴らしがよくない場所でもニホンミツバチは捕獲できます。
野生の巣は、平地の住宅街の床下や、お墓、森の中など、見晴らしが特に良いとは言えない様々な場所に作られています。
日本ミツバチはもっと見晴らしが良い場所を探したけど、見つからなかったので仕方なくそこに作ったのかもしれません。
ただ、確かに言えるのは、見晴らしが良いというのは絶対的な条件ではないということです。
できるだけたくさんの場所に巣箱を設置することが捕獲のポイントですので、たとえ見晴らしが良くなくても、巣箱をおける場所があれば置くべきです。
昨年までの成果があった場所に巣箱を設置する
巣箱を設置しても必ず捕獲できるとは限りません。たくさん巣箱を設置しても、捕獲できるのは一部の巣箱です。
ということは、捕獲できた場所は、捕獲に適していると推測できます。つまり、去年取れたところは、今年も取れる可能性が高いのです。
「いろんな場所に巣箱を置いて、捕獲できたところには翌年も設置する」、このシンプルな方法を繰り返すと、捕獲数を増やせます。
飼育歴が長くなってくると、巣箱を設置する場所は始めから決まっているという人も多いと思います。
ニホンミツバチの捕獲では、捕獲についての知識を学ぶのも大切ですが、行動力も大切です。
とにかく、たくさん巣箱を置いて、入ったところはまた次の年も設置して、それとは別に新しい場所にも設置するということを続けていけば飼育群れは増えていくでしょう。
友人・親戚に頼み込んででも巣箱を設置させてもらおう
巣箱の数を増やすために、友人や親戚に頼んでお願いしましょう。畑の端などの小さなスペースでも巣箱を置くことはできます。
また、あくまで頼むのは、捕獲時だけの設置でも良いのです。捕獲できたら、自分の家に移動させることもできます。実際にミツバチを飼うのはちょっと無理という人のところにも設置させてもらって、入ったらすぐに移動させることができます。
ミツバチを飼いたいと思っていることを周りの人が知ってくれると、お墓などにできた自然巣の情報や、「実はあそこの〇〇さんもミツバチを飼っている」のように、地域の飼育者を紹介してくれることもあります。
捕獲できたら代わりに空の巣箱を設置しよう
蜂群は1つの巣から1群れだけ出てくるのではありません。1つの巣から3群れ程度の分蜂群が期待できます。同じ年に、同じ場所で、複数の群れを捕獲できる可能性があります。
最初の分蜂が起こってから、1週間程度でまた2回目の分蜂が起こります。群れが大きい場合はさらに続きます。
そこで、捕獲した群れはすぐに別の場所に移動させ、空の捕獲箱を同じ場所に設置しておきます。こうすると、同じ群れの後から出てくる分蜂群れも、そこに入居してくれる可能性があるのです
巣箱を設置してはならない場所
公共の土地に勝手に設置すると撤去されることも多いです。迷惑行為ですし、これまでの皆さんの準備が無駄になってしまい、残念な思いをすることになります。
また、分蜂群が巣箱の中に入るときには、かなり大きな羽音がするので、目の付きにくい場所でこっそり飼おうとしてもばれてしまいます。
必ず自分の土地に巣箱を設置してください。
盗難には注意しよう
非常に残念ですが、設置した巣箱やキンリョウヘンが盗難される場合があります。自分の土地であってもです。
私たちは、なるべく巣箱の設置は民家の近くの畑などの人目につく場所に置いています。巣箱、キンリョウヘンともに高価なものです。十分注意するようにしてください。
これはミツバチが入居後も心配があります。ハチミツが溜まった頃を見計らって巣箱ごと盗まれることもあります。
ハチミツが溜まったニホンミツバチの巣箱の価値を考えると、巣箱だけでも1万円くらい、群れは数万円、ハチミツが10キロもたまっていれば10万円以上の価値があります。
つまり1つの巣箱で20万円くらいの価値があります。わかる人にとっては大変な価値なのです。