Q女王蜂が働き蜂に追い出されることがあるのですか?
分蜂の時期に、働き蜂たちが余分な女王蜂を取り囲み、噛みついて追い出すことがあります。
分蜂の時期は、女王蜂の数が余る
ニホンミツバチの群れには女王蜂が 1 匹、というイメージを持っている方が多いと思います。ところが春になると、女王蜂が何匹も育てられます。
春は分蜂(ぶんぽう)の季節です。分蜂は、群れを増やすための行動です。巣の中に王台(おうだい)という特別な部屋が作られ、新しい女王蜂が育ち始めると、古い女王蜂は働き蜂の半分ほどを連れて巣を出ていきます。
分蜂は 1 回で終わることはほとんどありません。私たちの観察では、分蜂が 3 回から 6 回程度なのに対して、女王蜂は 10 匹前後も育てられていました。必要な数より多く育つので、女王蜂が余ります。
取り囲んで噛みつき、巣から追い出す
余った女王蜂が、働き蜂に取り囲まれて噛みつかれることがあります。働き蜂の攻撃は執拗で、女王蜂は最後には巣を出ていきます。
観察のために作らせた巣で分蜂に密着していたときに、その様子を見ることができました。巣から直径 4〜5cm の蜂の塊がぶら下がり、中にいたのは女王蜂でした。
女王蜂の継承争いというと、女王蜂同士の一騎打ちのイメージが強いかもしれません。ただ、一騎打ちでは勝ち残った方も怪我を負う可能性があります。働き蜂が追い出す方であれば、残る女王蜂が怪我をせずに済むと考えられます。
熱で殺しているわけではない
働き蜂が女王蜂を取り囲む様子は、スズメバチを蒸し殺す熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)によく似ています。ただ、熱を使っているわけではなさそうです。
まず、私たちが見た限りでは、塊のできかたが違います。キイロスズメバチが相手のときは、最初の 1 匹が飛びかかると仲間が駆けつけ、一気に玉になります。女王蜂が相手のときは、1 匹また 1 匹と加勢していって、少しずつ丸くなっていきます。
女王蜂を囲んだ塊を触ってみても、熱いとは感じませんでした。
塊の中では、働き蜂が女王蜂の羽や足をかじっています。熱ではなく、噛みつくことで追い出しているのではないかと考えています。
追い出された女王蜂は飛べなくなる
その巣箱で分蜂が続いている間は、巣箱の周りを飛べずに歩いている女王蜂をよく見かけます。羽や足はかじられていても、体に大きな傷は見当たりません。
働き蜂から餌をもらえなくなり、力が出ずに飛べなくなっているのではないかと考えています。女王蜂は自分で餌を食べることがほとんどなく、働き蜂から口移しでもらって暮らしているからです。
一度追い出された女王蜂を巣に戻しても、働き蜂はまた攻撃して追い出します。群れから離れた女王蜂は 1 匹では生きていくことができず、そのうち死んでしまいます。
働き蜂の攻撃は、女王蜂が死んだ後も終わらないことがあります。巣箱の下で死んでいた女王蜂を、翌日になっても働き蜂が羽をかじり続けていました。
関連情報
分蜂とは
分蜂とは、ニホンミツバチの群れが2つに分かれる現象です。春に起こる分蜂は、野生のニホンミツバチを捕まえて飼育を始める絶好のチャンス。時期・回数・仕組みを詳しく解説。
