Q熱殺蜂球とは何ですか?ミツバチがスズメバチを熱で殺す驚きの防衛術
ニホンミツバチはスズメバチを集団で取り囲み、筋肉を震わせて発熱することで熱で殺すという驚きの防衛方法を持っています。この熱殺蜂球と呼ばれる必殺技の仕組みを解説します。
ニホンミツバチは、天敵のスズメバチを倒すために「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」という驚くべき必殺技を持っています。数百匹のミツバチがスズメバチを取り囲み、体温を上げて熱で殺すのです。記事の最後には、実際に熱殺蜂球が形成される様子を撮影した動画も紹介していますので、ぜひご覧ください。
スズメバチとミツバチの関係
ニホンミツバチにとって、スズメバチは恐ろしい天敵です。
特にオオスズメバチは集団でミツバチの巣を襲い、群れを全滅させることもあります。キイロスズメバチも、巣の周りを飛び回って働き蜂を捕まえ、肉団子にして持ち帰ります。
体の大きさは 2 倍以上、強力なアゴを持つスズメバチに、ミツバチは 1 対 1 では太刀打ちできません。しかし、ニホンミツバチは驚くべき方法でスズメバチに対抗します。
熱殺蜂球の仕組み
熱殺蜂球の形成のきっかけは、スズメバチの種類によって異なります。
キイロスズメバチに対しては、1 匹の勇敢なミツバチが飛びかかってしがみつき、その合図を受けて仲間が次々と駆けつけます。一方、オオスズメバチに対しては、1 匹のミツバチが犠牲になり、オオスズメバチがそのミツバチを噛み砕いている隙に一斉に襲いかかることが多いです。
いずれの場合も、約 400 匹ものミツバチがスズメバチを取り囲んで「蜂球」を形成します。
ミツバチたちは胸の筋肉を震わせて発熱します。蜂球の中心部の温度は約 46℃ まで上昇し、この温度が約 30 分間維持されます。
なぜスズメバチだけが死ぬのか
ここで重要なのが「致死温度の違い」です。蜂球の内部は約 46℃ になるため、スズメバチは熱に耐えられずに死んでしまいますが、ニホンミツバチはギリギリ耐えられるのです。このわずか数度の温度差を利用した戦術が、熱殺蜂球の仕組みです。
さらに、蜂球の内部は二酸化炭素濃度が通常の約 100 倍、湿度も 90%以上になり、これらの条件もスズメバチの生存を困難にしています。
命がけのチームワーク
玉川大学の研究によると、蜂球の中心で高温にさらされたミツバチは、たとえ生き残っても寿命が 4 分の 1 から 2 分の 1 に縮んでしまうことがわかっています。
最初にスズメバチに飛びかかるミツバチは、連れ去られる危険もありますし、スズメバチの強力なアゴで噛まれて死ぬこともあります。それでも仲間のために立ち向かうのです。
さらに興味深いことに、一度蜂球に参加して寿命が縮んだミツバチは、次の蜂球形成の際に中心付近に集まりやすくなるという研究結果もあります。自分の命と引き換えに、群れを守ろうとするのです。
セイヨウミツバチは熱殺蜂球ができない
この熱殺蜂球はニホンミツバチ特有の能力です。
セイヨウミツバチは熱殺蜂球を形成することができません。これは、ニホンミツバチが長い年月をかけて、東アジアに棲むオオスズメバチに対抗するために進化させた行動だと考えられています。
そのため、セイヨウミツバチはオオスズメバチに対して無防備であり、養蜂家がしっかり対策をしないと全滅してしまいます。
関連情報
スズメバチの対策についてはこちらで詳しく解説しています。
スズメバチの中でも、キイロスズメバチはニホンミツバチの巣箱に頻繁にやってきます。オオスズメバチは世界最大のスズメバチで、ニホンミツバチの群れを全滅させることもあります。スズメバチの対策

動画
ニホンミツバチとキイロスズメバチの戦いを観察しました。勇敢なミツバチがスズメバチに立ち向かい、熱殺蜂球が形成される瞬間をご覧ください。





