Qオオスズメバチにも益虫としての側面はありますか?
はい、あります。オオスズメバチは害虫を食べる益虫であるほか、別種のセイヨウミツバチが野生化するのを防いでニホンミツバチを守り、他のスズメバチが増えるのを抑える役割もあると考えられています。
農地の害虫を食べる益虫
オオスズメバチは、他の昆虫を狩って生きています。捕らえた虫は肉だんごにして巣に持ち帰り、幼虫の餌にします。
狙うのはコガネムシや大きなイモムシといった、体の大きな虫です。コガネムシは葉や根を食べる農業害虫としても知られています。
大きな巣になると、働き蜂は 500 匹ほどになります。その一匹一匹が、幼虫の餌を求めて狩りに出ます。
ときにはカマキリのように、他の虫を襲う側の昆虫まで捕らえます。その狩りが結果として、農地を荒らす虫を減らすことにもつながっています。
ニホンミツバチの生息域を守る役割
オオスズメバチはニホンミツバチの巣を襲う天敵です。ところが意外なことに、ニホンミツバチにとって必要な存在とも言われています。 セイヨウミツバチは、養蜂のために海外から持ち込まれたミツバチです。飼われている群れが逃げ出して自然の中に住み着くと、ニホンミツバチと同じ花の蜜を奪い合うことになり、すみかを追われる恐れがあります。
オオスズメバチはセイヨウミツバチの巣も攻撃します。セイヨウミツバチはオオスズメバチへの対抗策を持たないため、簡単にやられてしまいます。
結果としてセイヨウミツバチの野生での定着を防ぎ、ニホンミツバチの生息域が守られているとも考えられています。
他のスズメバチの数を抑えています
オオスズメバチがミツバチの巣を襲うことは知られていますが、襲われるのは同じスズメバチの仲間にも及びます。
秋になると、オオスズメバチは他のスズメバチの巣を集団で襲います。巣を壊して中の幼虫やサナギを引き抜き、自分の巣に持ち帰って餌にするのです。
この行動が、他のスズメバチが増えるのを抑えていると考えられています。
人への被害が多いのは別の種
オオスズメバチは恐ろしい昆虫として語られ、いなくなってほしいという声を耳にすることもあります。
しかし、人が刺される被害が多いのは、住宅の軒下などに巣を作るキイロスズメバチだと言われています。私たちは地域でスズメバチの駆除ボランティアを行っていますが、寄せられる依頼も、キイロスズメバチと、庭木などに巣を作るコガタスズメバチが多いです。
キイロスズメバチの被害が多いのは、人家のすぐそばに巣を作るため人が近づく機会が多いことに加え、この種自体の攻撃性が高いことも関係していると考えられます。
なお、オオスズメバチは土の中に巣を作るため、コンクリートに覆われた都市部には少ないと考えられています。反対にキイロスズメバチは、軒下でも屋根裏でも壁の隙間でも巣を作れるうえ、餌にする虫の幅も広いため、都市部でも暮らしていけるのです。
ただし、刺される件数が少ないことと、刺されたときの危険性は別の話です。スズメバチはどの種でも、刺されれば強い痛みと腫れが出ます。体質によっては、アナフィラキシーショックで命に関わることもあります。
動画
オオスズメバチをマクロカメラで観察した動画です。顎・複眼・毒針など、普段は見られない細部まで間近で観察しています。恐ろしいだけでなく、興味深い生態も紹介しています。
関連情報
スズメバチの対策
スズメバチの中でも、キイロスズメバチはニホンミツバチの巣箱に頻繁にやってきます。オオスズメバチは世界最大のスズメバチで、ニホンミツバチの群れを全滅させることもあります。
