Q分蜂時に群れにトラブルが起こることはありますか?
分蜂は必ずスムーズにいくとは限りません。女王蜂がついてこない、群れが複数に分かれてしまう、新しい巣が見つからないなど、さまざまなトラブルが起こることがあります。
分蜂(ぶんぽう)はミツバチの群れが増える大切な行動ですが、いつもスムーズにいくとは限りません。以下のようなトラブルが起こることがあります。
分蜂でトラブルが起こる理由
分蜂は、女王蜂にとって生涯で数少ない外出の機会です。普段は巣の中で卵を産み続ける女王蜂が、数千〜数万匹の働き蜂を連れて新しい住処へ旅立つ壮大な引っ越しです。
これだけの大群が一斉に移動し、新しい巣を見つけて定着するには、高度な連携が必要です。そのため、さまざまなトラブルが起こることも珍しくありません。
主なトラブルとして、以下のようなものがあります。
- 女王蜂がついてこなくて戻ってしまう
- 群れが複数の場所に分かれてしまう
- 新しい巣の場所がなかなか見つからない
女王蜂がついてこないケース
まれに、大量の働き蜂が巣箱から飛び出して旋回を始めたものの、しばらくすると元の巣箱に戻っていくことがあります。人間から見ると「分蜂しかけたけどやめた」ように見える現象です。
これは「分蜂の練習」と呼ばれることもあり、なんらかの原因で女王蜂が出てこられなかったのか、そもそも練習だったのかはわかっていません。比較的珍しい現象で、あまり見かけることはありません。
群れが複数の場所に分かれてしまうケース
分蜂した群れは通常、近くの木の枝などに集まって「蜂球(ほうきゅう)」を作ります。ところが、1 つの場所に集まれず、2 箇所や 3 箇所に分かれてしまうことがあります。
周囲の木などの形状にもよりますが、10 回に 1 回程度は見かける、割とよくあるトラブルです。
この場合、女王蜂がいる群れは問題ありませんが、女王蜂がいない群れは「無王群(むおうぐん)」となってしまいます。
女王蜂がいない群れはどうなるのでしょうか。働き蜂だけでは新しい女王蜂を育てることができません。働き蜂が卵を産むこともできますが、交尾していないため無精卵しか産めず、そこからは雄蜂(おすばち)しか生まれません。
雄蜂は蜜を集めることも巣を作ることもできないため、群れは働き蜂が減っていく一方で、やがて消滅してしまいます。
ただし、飛び立つタイミングで近くの別の蜂球と合流し、1 つの群れになることもあります。
新しい巣が見つからないケース
分蜂した群れは、まず近くの木などに集まって待機します。その間に探索蜂と呼ばれる働き蜂たちが、新しい巣の候補地を探しに飛び立ちます。
通常は数時間から 1 日程度で新しい住処が決まり、群れ全体で移動します。しかし、なかなか良い場所が見つからなかったり、天候が悪くて飛び立てないこともあります。
分蜂群が飛び立つのは、晴れて暖かい日です。春は三寒四温というように、天候が良い日と悪い日が数日ごとに交互に続くことがあります。雨や風が強い日が続くと、なかなか飛び立てません。
実際に観察された例では、分蜂群が同じ場所で 5 日間も待機し続けたことがありました。この間、働き蜂たちはお腹に蓄えた蜜で命をつないでいます。いつまでも飛び立てなければ、エネルギーが尽きてしまう危険もあります。
分蜂は命がけの大移動
一見すると、ミツバチが大群で飛んでいく分蜂は華やかに見えるかもしれません。しかし、その裏には「無事に新しい住処にたどり着けるか」という命がけのドラマがあります。
分蜂を成功させるために、ミツバチたちは事前にお腹いっぱいの蜜を蓄え、探索蜂は何度も候補地を調べ、群れ全体で「話し合い」をして引っ越し先を決めます。このような入念な準備があっても、トラブルが起こることがあるのです。
だからこそ、無事に分蜂を成功させて新しい巣で暮らし始めたミツバチたちを見ると、そのたくましさに感動を覚えます。
関連情報
分蜂の基本的な仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
分蜂とは、ニホンミツバチの群れが2つに分かれる現象です。春に起こる分蜂は、野生のニホンミツバチを捕まえて飼育を始める絶好のチャンス。時期・回数・仕組みを詳しく解説。分蜂とは

群れが複数の場所に分かれてしまった場合の対処法はこちらで解説しています。





