Q分蜂後、元の巣の群れはどうなりますか?
分蜂後は新しい女王蜂が元の巣を引き継ぎます。ただし、新女王には交尾飛行という危険なハードルがあり、失敗すると群れは消滅してしまいます。
分蜂(ぶんぽう)では、女王蜂が働き蜂の約半数を連れて巣を飛び出していきます。では、残された元の巣はどうなるのでしょうか。実は、そこには新しい女王蜂の誕生と、命がけの試練が待っています。
新しい女王蜂が巣を引き継ぐ
分蜂で旧女王蜂が出ていった後の巣には、残りの働き蜂たちと、これから生まれてくる新しい女王蜂がいます。
この新女王が無事に育ち、交尾(こうび)に成功すれば、元の群れは新しいリーダーのもとで存続します。しかし、うまくいかない場合もあります。
王台から新女王が誕生する
分蜂が起こる前、働き蜂たちは「王台(おうだい)」と呼ばれる特別な部屋を作っています。王台は巣板の下側に垂れ下がるように作られ、その中で新しい女王蜂が育てられます。
通常、王台は複数作られます。複数の女王蜂候補を育てることで、万が一に備えているのです。
分蜂で旧女王蜂が出ていく頃、王台の中では新女王のサナギが羽化(うか)の準備を進めています。そして、分蜂から数日後、最初の新女王が王台を破って出てきます。
分蜂は何度も繰り返される
旧女王蜂が出ていった後、王台から新しい女王蜂が羽化します。すると、この新女王もまた働き蜂を連れて分蜂していきます。これが「第 2 分蜂」です。
その後も王台から次々と女王蜂が生まれ、「第 3 分蜂」「第 4 分蜂」と続きます。通常、1 つの群れから 3〜4 回の分蜂が起こります。多い群れでは 6 回以上になることもあります。
最後の女王が群れを引き継ぐ
分蜂が終盤になると、最後に羽化した女王蜂が元の巣を引き継ぎます。
このとき、まだ王台の中にいる女王蜂候補がいれば、最後の女王はライバルを攻撃して殺してしまいます。
自分が群れのただ 1 匹の女王として地位を確立するためです。自然界は厳しいのです。
交尾飛行という命がけの試練
新しく生まれた女王蜂は「処女王(しょじょおう)」と呼ばれます。まだ交尾をしていないため、卵を産むことができません。女王としての役割を果たすには、雄蜂(おすばち)と交尾する必要があります。
羽化してから 1 週間ほど経つと、処女王は「交尾飛行(こうびひこう)」に出かけます。分蜂を除けば、女王蜂が外の世界に出る生涯で唯一の機会です。
交尾飛行では、上空に集まった雄蜂たちの群れの中へ飛んでいき、複数の雄蜂と交尾します。このとき得た精子を体内に蓄え、卵を産み続けるのです。
交尾に失敗すると群れは消滅する
もし処女王が交尾飛行中に外敵に殺されてしまったら、どうなるのでしょうか。
残念ながら、群れはやがて消滅してしまいます。女王蜂がいなくなると、新しい女王を育てるための卵がありません。分蜂直後の巣には卵が残っていないため、「変成王台(へんせいおうだい)」を作って新しい女王を育てることも難しいのです。
このような群れは「無王(むおう)」となり、働き蜂が減っていく一方で、やがて滅亡してしまいます。
分蜂シーズンは群れの調子が崩れやすい
分蜂の前後は、働き蜂の数が大きく変動します。分蜂に向けて働き蜂が急増し、分蜂で一気に減る。この激しい変化の過程で、群れの調子を崩してしまうことがあります。
働き蜂が減りすぎると、元の巣を維持できなくなり、消滅してしまうケースもあります。
分蜂は、新しい場所へ旅立つ群れだけでなく、元の巣に残る群れにとってもドラマの始まりです。新女王の誕生、ライバルとの戦い、命がけの交尾飛行。そのすべてを乗り越えて初めて、群れは存続することができます。
ミツバチの世界は、私たちが想像する以上にドラマチックなのです。
関連情報
分蜂の基本的な仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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